大林組とJFEスチール、ジェコスは、仮設の土留め用鋼矢板で本設地下壁を構築する「J-WALLII工法」を香川県庁舎東館耐震改修工事(発注者=香川県、工事監理=松田平田設計)で初めて適用した。地下壁の配筋量が従来工法の半分となり配筋作業の時間を50%短縮できたほか、従来工法より壁厚を薄くしてコンクリート量を60~80%にまで削減した。
J-WALLII工法は、鋼矢板に鉄筋コンクリートとの定着用のCT形鋼と鉄筋をあらかじめ取り付けた「ビートルパイル」を仮設の土留め壁として利用し、掘削後に鉄筋コンクリートと一体化して本設の地下壁とする。同工事では、壁厚550mmの地下壁を施工したほか、上部に制限がある部分ではビートルパイルを3分割して溶接継手を設けた。ビートパイルは、供用中の庁舎や隣接建物への影響を最小限に抑えるため、低騒音・低振動の油圧圧入機で圧入し、施工精度や施工スピードが通常の鋼矢板の施工と同等程度となることを確認した。ビートパイルが鉄筋の機能を代替することによる配筋作業時間の短縮や、壁厚を薄くすることによるコンクリート量削減を実現した。
施工結果を設計方法や施工方法に反映して利用の拡大を目指すほか、狭あい地での立体交差や掘割道路、ビル・地下鉄駅の改良工事におけるエレベーターシャフト、地下通路など都市部の難条件開削工事への適用を進める。