【新菱冷熱】「低酸素空調システム」を開発 「ASICS Sports Complex TOKYO BAY」で初適用 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【新菱冷熱】「低酸素空調システム」を開発 「ASICS Sports Complex TOKYO BAY」で初適用

 新菱冷熱工業は、通常の空気に100%の窒素ガスを加えて所定の酸素濃度に制御することで低酸素環境をつくる「低酸素空調システム」を開発し、アシックス・スポーツコンプレックスの「ASICS Sports Complex TOKYO BAY」で初適用した。通常は20.9%程度の酸素濃度を17-12%に低下させることで、標高2000-4000mの高地と同程度の低酸素空間とすることができる。
 同施設は、東京都江東区の地上17階建ての複合施設「Dタワー豊洲」内にあり、面積は約5000㎡、うちプールや50mランニングレーンを備えたトレーニングエリアは約3000㎡で、都市型低酸素トレーニング施設としては世界最大級だ。

50mランニングレーンなどを備えた世界最大級の低酸素型トレーニング施設

 低酸素環境をつくるためには、高分子膜方式とPSA(Pressure Swing Absorption)方式の2つの方法がある。国内にある既存の低酸素トレーニング施設は、大学の研究室など比較的小規模なものがほとんどで、主に高分子膜方式が採用されている。しかし、高分子膜方式を大規模空間で採用する場合、数十本もの膜装置の設置が必要となり、コストや設置スペースなどに問題があることから、同施設ではPSA方式を採用している。
 システムの構築に当たっては、窒素ガスを用いた空調設備の参考事例がなかったことから茨城県つくば市の同社中央研究所で実験による性能確認を実施。縮小モデルを製作し、酸素濃度制御の方法や建築の気密性が与える影響など、想定される技術面・安全面の課題を一つひとつ確認し、最適な空調制御方法を導き出した。
 また、プールを備えた低酸素トレーニング室では、プールからの塩素ガスが酸素濃度計の耐久性に及ぼす影響の確認試験も実施し、より安定した環境制御を実現している。
 同社は、同システムが広く国民の健康に寄与する技術であり、今後、次世代型の効率的なトレーニング施設のニーズが高まるという考えから、同施設がマーケットの拡大に向けた端緒となることを期待する。

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