【木材利用】ユニットで地場産材を使いやすくカスタマイズ! 大建工業の「ウッドキューブ」 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【木材利用】ユニットで地場産材を使いやすくカスタマイズ! 大建工業の「ウッドキューブ」

井波総合文化センターでの施工例

 大建工業が木質化空間パッケージ「ウッドキューブ」の販売に力を入れている。地場産材を使って、木質ユニットで休憩コーナーや木質ギャラリースペースを製作するもので、規模や内装は顧客の要望に応じてカスタマイズでき、公共施設のオープンスペースを交流コーナーにするほか、ホテルの和風空間や畳敷きに、高齢者施設の小上がり空間にするなど、多様な活用方法が考えられる。
 開発のきっかけは「地場産材を公共施設などにうまく活用する方法を知りたい」という自治体の声だったと新田健住空間事業部住機開発課長は説明する。公共建築物木材利用促進法の施行後、国産材を活用した多くのホールや公民館が誕生したが、一方で地場産材の調達・活用方法に苦慮する自治体は多かった。同業他社からも高強度床材や木質化粧材などの新製品がリリースされており、どこで差別化するか製品力が問われた。
 ウッドキューブの特徴は、施工性と空間の自由度の高さだ。柱と梁、土台、床のセットで立方体を作り、オープンスペースやパブリックスペースを簡単に木質空間にする。縦横につなげてさまざまな空間に対応でき、棚や木製ウォール、家具も設置可能だ。既存の床や壁を改装すると大掛かりな工事になるが、固定型でなく据え置き型であるため、躯体に取り付ける必要がない。耐震試験を行い、阪神・淡路大震災規模の揺れでは倒壊しないことも実証した。

ウッドキューブの構造

 富山県の井波総合文化センターに設置した際は、ロビーや通路に県産杉材を使い、80㎡程度の空間を2人の職人が10日間で製作した。内部には小上がりとカウンター席、テーブル席を設置し、据え付けの棚に書籍や行政パンフレットを置く。「公共物件の大空間に設置すると、雰囲気ががらっと変わる」と新田課長。市民は会議室以外に過ごせる場所ができたと喜んでおり、「近所の子どもたちも居心地良い木質空間に集まり、宿題をしに通ってくる」と目尻を下げる。県内の南砺市には古くから伝わる伝統彫刻があり、これらを取り入れた木質空間などの展開も考えている。
 同社は、東京おもちゃ美術館監修の木製おもちゃを配置したキッズスペースや、商業店舗用の商品陳列スペースなど、多様なカスタマイズを提案する。29日には滋賀県森林組合連合会と農林中央金庫大阪支店がウッドキューブを活用し、県産材を活用した1-2歳児向けの木質空間を滋賀県立びわ湖こどもの国に寄贈した。事業主を訪問し、提案活動を続ける新田課長は「多様な顧客とコラボレーションしてみたい」と力を込める。

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