陸上と水中(水底)を面的に計測できるアミューズワンセルフ(大阪市)のドローン搭載型グリーンレーザースキャナーが、国土交通省の各地方整備局に計11台配備された。これまで有人航空機に搭載する航空レーザー測深機(ALB)はあったが、ドローンに搭載可能なグリーンレーザースキャナーはなく、世界的にも先進的システムとして注目を集める。国交省水管理・国土保全局河川環境課保全企画室では「地方整備局には災害時だけでなく、日常の河川管理でも3次元データを有効活用してほしい」と、活用方法の検証を全国的にスタートさせた。
グリーンレーザーは国内初のシステムとして、国交省が異分野連携で研究開発を促進する「革新的河川管理プロジェクト」の初弾プロジェクトにも選定され、災害時の調査や河川管理の新たなツールとしても大きな期待がかけられている。一般的なドローンを使った写真測量では、樹木下の地形まで厳密に把握することはできず、さらに近赤外線を使ったレーザースキャナーでは水に光が吸収されてしまうため、水で濡れているような場所は計測が難しかった。
同社の冨井隆春CTOは「グリーンレーザーでは水の中に光が届く範囲であれば計測ができる。グリーンの光は水への吸収率が低く、ドローンを高度50mで飛ばすと仮定した場合、理論値で測深能力は13.5mとなるが、計測範囲は水の濁りや浮遊物の状態に影響を受けるため、必ずしも水深何mまで計測できるとは言えない」とつけ加える。
国交省への納品を昨年末までに完了した同社は、年明けから民間企業への提供も始めた。1台当たり3000万円ほどの価格だが、国交省が全国に配備したことで今後の河川管理では欠かせないツールになるとの見方が広がり、測量会社や建設コンサルタントからの受注も順調だ。冨井氏は「国内だけでなく、海外にも需要が出てきている」と話す。
2011年に設立した同社は『楽しいを仕事に』をモットーに事業展開を進めてきた。
佐野ひかる社長は「人の役に立つという視点を軸に事業を展開している。グリーンレーザードローンは災害時に大いに役立つ社会貢献のシステムだ」と強調する。同社は災害復旧や河川管理のさらなる効率化を見据え、さまざまなシステム開発を進めている。
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