インフラ構造物は5年に1度の定期点検が義務づけられており、維持管理に適した3次元モデルの開発が求められている。BIM/CIMは3次元モデルに属性情報を入力し、建設生産プロセスを通じて活用するが、中馬社長は「維持管理では復元図を作成するのも一苦労。業務を担う中小建設業は3次元モデルを作成するのも難しく、コストもかかる。市販のソフトや機器を組み合わせ誰でも使えることが大切だ」と考える。
そのため、復元図ではなく、点群データをそのまま維持管理のデータプラットフォームとして活用するスタイルを目指す。ゲームコントローラーやVRゴーグル、MRデバイスも活用し、“調査・診断の精度、生産性、将来の運用方法”を追求している。
3次元でビジュアル化するメリットとして、「図面、報告書や帳票の作成を繰り返していては生産性はあがらない。3次元をうまく運用することで今までの業務フローを改善する。将来的には3次元パッケージだけで業務を完結できるのが理想だ」と指摘する。
具体的には、ドローンやレーザースキャナーで取得した点群をArena4Dに読み込み、プラットフォームとして活用する。そこに損傷位置や写真、2、3次元CAD図面、3次元モデル(SfM)、インターネットのリンク先などを貼り付け、時間データとともに点検記録を蓄積できる。またモデルどうしの干渉チェックや整合性チェック(差分解析)も行え、出来形を把握することも可能だ。
実務面では「初回は構造物全体データを取得し、次回からは損傷のあるところだけドローンなどで点検すれば大幅に効率化できる。また、スタッフが現地のデータを取得すれば、室内で超リアル空間を再現でき、調査・診断の“分業体制”の構築も容易だ」とメリットをあげる。
現在、大断面トンネルで試行し、より分かりやすい表示方法などを検討している。「中小建設業がICTを使えてこそ国力がアップする。ユーザーに価値を理解してもらえるよう実務者目線の機能を追加したい」と見据える。