【記者座談会】行政のデジタル化/LGBTQ | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【記者座談会】行政のデジタル化/LGBTQ

A 早いものでことしも残り1カ月を切った。新型コロナウイルスの感染拡大とその対応に揺れた1年だったけど、半ば強制的に取り組んだリモートワークなどを通じて、改めてデジタル化の必要性と可能性を感じた年でもあった。9月に就任した菅義偉首相肝入りのデジタル庁の概要も明らかになってきたね。

B 政府がまとめたデジタル改革関連法案の概要によると、デジタル庁が国の情報システムの整備・管理に関する基本方針を策定する。関連予算も一括計上し、各府省に配分する仕組みを目指すという。国のシステム統合で運用経費を2025年までに3割削減する目標も掲げている。地方自治体が個別に導入しているシステムも、インターネットのクラウドサービスへの移行を進めるなどして一本化を図る。

C 政府は21年1月召集の通常国会に関連法案を提出し、同年9月のデジタル庁発足を目指すとしている。国際的に後れを取っている行政のデジタル化について、経済団体からもスピード感を持った対応を求める声が上がっていた。建設産業界にとっても行政のデジタル化は、書類提出の効率化など、生産性向上への寄与が期待される。

A デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進には、行政の対応がボトルネックになっているという指摘もある。

C 10年ほど前まで行政の取材を担当していたが、国や地方自治体の取材相手が使っているノートパソコンは、既に旧型のものも多く、民間企業との格差を感じた。最近では行政のペーパーレス化も一応は進んでいるが、紙からの完全脱却には程遠い状況だ。真のデジタル行政の実現に向けては、行政職員のスキル向上と、日進月歩のデジタル技術に対応した最新機器の整備が欠かせない。そこには当然、コストもかかる。デジタル化のコストを将来への投資と捉えることができるか。ただでさえ行政コストへの風当たりが強い国民感情が最大のハードルになるかもしれない。

デジタル庁の発足で霞が関にもデジタル化の波が押し寄せるか

◆建設産業界でも取り組み広がる

A 話は変わるけど、最近「LGBTQ」というワードを見聞きする機会が増えてきた。

D LGBTQはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニングの頭文字をとった性的マイノリティーの総称として使われる。Qにはクエスチョニングのほか、「風変わりな」「奇妙な」という意味があるクイア(Queer)も含まれている。建設産業界でもダイバーシティー(多様性)の一環として誰もが自分らしく働くことができる環境づくりへの取り組みが広がっている。

E 性的マイノリティーに関するダイバーシティー・マネジメント促進などを支援する任意団体、work with Prideは、16年に日本初の職場における性的マイノリティーへの取り組みを評価する「PRIDE指標」を策定し、企業や団体の取り組み度合いを評価している。5回目となる「PRIDE指標2020」には、前年比20%増となる233の企業・団体が応募し、183社が最高位のゴールド、32社がシルバー、15社がブロンズの評価を取得した。建設業ではNTTファシリティーズグループと積水ハウスがゴールドを獲得し、シルバーには3社、ブロンズには4社が名を連ねている。

A 男社会の印象がいまだに根強い建設産業界でも多様な働き方とともに、誰もが差別的扱いを受けずに働くことができる環境整備が着実に進んでいる。自分らしく働くことができる職場環境のさらなる広がりに期待したい。

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