【記者座談会】水道行政を厚労省から国土交通、環境の両省に移管/建築学会が大会開催 | 建設通信新聞Digital

5月8日 水曜日

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【記者座談会】水道行政を厚労省から国土交通、環境の両省に移管/建築学会が大会開催

A 政府が厚生労働省の水道行政を国土交通、環境の両省にそれぞれ移管することを決めたね。

B 政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が2日に決定した感染拡大や次の感染症危機に備えた対応の具体策に盛り込んだ。厚労省が平時からの感染症対応能力を強化することに伴う同省の組織見直しの一環だ。

C 水道事業の経営基盤強化、老朽化や耐震化への対応といった施設整備、災害時の復旧支援、渇水対応などの業務を国交省に移管する。国交省が施設整備や下水道運営、災害対応への能力・知見や層の厚い地方組織を活用することで、「水道整備・管理行政を一元的に担当し、パフォーマンスの一層の向上を図る」としている。環境省は水質基準の策定を担うほか、水質・衛生の一部業務で必要な協力を行う。

D 政府内では水道行政を国交省に移管し、上下水道一体行政とする案と、環境省に移管する案があった。水道事業は国直轄でなく、自治体が実務を担う。自治体は現在、住民サービス向上や事業効率化などの観点から、上下水道を一体とした組織運営を進めている。このため、自治体側にとって政府窓口のワンストップ化は必須ともいえた。水道施設の設計などを担う水コンサルタントからも、上下水道一体行政を望む声が強かった。

C 結果として、水道行政のワンストップ窓口は国交省、環境省が業務の一部に携わることで決着した。今後は、2023年の通常国会に関係省の設置法改正法案などを提出し、24年度からの施行を見込んでいる。関連法案が成立すれば、水道行政移管に伴う機構・定員要求は23年8月末になる。国交省は水管理・国土保全局、環境省は水・大気環境局に水道行政を組み込むことが想定される。

「描く」テーマに明るい未来を議論

A ところで、5-8日にかけて日本建築学会の全国大会(北海道)が札幌市の北海道科学大学で開かれたね。

E 昨年はオンライン開催だったが、今回は現地会場とオンライン会場併用のハイブリッド形式となった。会場には田辺新一会長をはじめ、研究集会やパネルディスカッションの登壇者が参集し、会合の様子は「Zoom」で一般参加者に中継した。

F コロナ禍や戦争、地球温暖化などの世界的な困難を背景に、メインテーマは「描く」とした。建築デザイン発表会、研究協議会、パネルディスカッションなどさまざまなイベントを通じ、4日間にわたって明るい未来を描く建築の姿について活発に議論した。

G 喫緊の課題ということもあり、脱炭素を主題にした会合には大きな関心が寄せられていた。コロナ禍での都市や建築の対応に関する総合研究協議会も注目されていた。

F 一方で、建築の保存・活用や空き家問題など、従来からある課題も話し合った。23年で発生から100年となる関東大震災の火災延焼に関する調査などテーマは多岐にわたった。

E オンライン会場ではチャット形式で質問や意見が寄せられた。その場で追加資料を共有するなど、学会が取り組むDX(デジタルトランスフォーメーション)が浸透していることがうかがえた。

G 建築学会の大会を皮切りに、9月末には熊本県で日本建築士事務所協会連合会の建築士事務所全国大会、10月に入ると秋田県で日本建築士会連合会の建築士会全国大会、沖縄県で日本建築家協会(JIA)の建築家大会が予定されている。3年ぶりに開く大会もあり、充実した内容になりそうだ。

建築分野のカーボンニュートラルを話し合う総合研究協議会。建築学会大会の現地開催は3年ぶり

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