【記者座談会】日建連意見交換会が16日からスタート/岸田政権の重要課題まとめ時期迫る | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【記者座談会】日建連意見交換会が16日からスタート/岸田政権の重要課題まとめ時期迫る

A 日本建設業連合会(宮本洋一会長)と国土交通省各地方整備局などが共催する「2022年度公共工事の諸課題に関する意見交換会」が16日の関東地区を皮切りにスタートする。ポイントとなるテーマは何かな。

B なんと言っても、24年4月の適用開始まで2年を切った、時間外労働の罰則付き上限規制への対応だろう。実際、日建連側の要望項目として、国交省直轄工事で全面実施している週休2日モデル工事の他の発注機関への展開、4週8閉所が工程的に厳しい工事を対象とした交替制の導入などが盛り込まれており、推進姿勢をより強く打ち出している。

A 時間外労働を抑制する上で、週休2日が求められるのはなぜだろう。

C 改正労働基準法では、時間外労働上限の特別条項として「月45時間超は年6回まで」と規定している。毎週土曜日を休日と定めた場合に現場を稼働させるだけで、1カ月当たり32時間(8時間×4日)の時間外労働が発生し、同項に抵触する可能性が高くなる。法令順守の観点からも週休2日の達成は絶対条件となっている。

D 一方で、休日を確保できるだけの作業効率化が求められる。ただ、これまでの取り組みの延長線上では抜本的な生産性向上にはつながりにくい。DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に取り入れ、現状を打破できるかがかぎを握る。

B 日建連が会員企業を対象に実施したアンケートの結果を見ると、遠隔臨場やBIM/CIMなどの導入率は思ったよりも伸びていない。デジタル技術の活用を促進する上では、施工者の提案に基づく新技術をタイムリーに現場実装できる仕組みづくりの必要性が増している。

D 資材価格の高騰を始め、建設業には先行きへの不安材料が山積している。今回の意見交換会を通じて明るさが少しでも見えてくるといいね。

今年度は週休2日、生産性向上が議論の中心に(写真は2019年6月4日に開かれた東北地区意見交換会)

従来の仕組みにとらわれず社会資本向上

 
A 話は変わるけど、政府の重要課題とそれに対応する政策、23年度予算編成の方向性などを示す時期が迫ってきたね。

E 岸田政権としてまとめるのは今回が最初となる。4月下旬にはその初弾ともいえる事業規模13兆2000億円の原油価格・物価高騰等総合緊急対策を「原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議」で決定した。デジタル田園都市国家構想実現会議も開き、同構想の基本方針骨子案を示した。そして、経済財政諮問会議、新しい資本主義実現会議を相次いで開いた。

F 政権発足後から議論してきた成果がまとまりつつある。総合緊急対策には、6月までに新しい資本主義のグランドデザインと実行計画、「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)をまとめ、その上で総合的な方策を打ち出すと明記した。

A 建設産業に関係する施策はどうなるのだろうか。

G 社会資本整備については、DXの進展を踏まえ、質の向上を目指すことになる。デジタル技術を活用した運用改善、民間資金の積極的な活用など、これまでのやり方や仕組みにとらわれない方法で社会資本の価値向上に取り組む。

E 民間が公的役割を担うことにも力を入れる。社会的課題の解決と経済成長の二兎(にと)を追うスタートアップを資金調達や公共調達の面から全面的に支援する。PFIの対象分野を拡大し、公共施設を民間が運営するコンセッションも加速する。これらの内容は実行計画などに盛り込むことになる。

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