【記者座談会】日建連が「適正工期確保宣言」/設備工事業は連携強化 | 建設通信新聞Digital

5月21日 火曜日

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【記者座談会】日建連が「適正工期確保宣言」/設備工事業は連携強化

◆独禁法との関係を一つひとつクリア

A 今週のニュースを眺めていると、なんと言っても、日本建設業連合会が新たに打ち出した「適正工期確保宣言」が大きな話題だったね。

B ずっと指摘をされながらも、土日閉所や長時間労働の是正が、なかなか思うように進まない民間発注の建築工事を対象とした宣言で、個人的には近年まれにみるインパクトのある施策だと感じた。発注者に対して初めに出す見積書は、4週8閉所・週40時間稼働を原則として作成するというのが主な内容で、「元請けとして共同で」アクションを起こす点が大きなポイントだ。

C 公共工事よりもさらに自由度の高い民間工事の競争環境に業界団体が関与することになると思うけど、その点は大丈夫なの。

B まさにそこが、衝撃を受けた画期的たるゆえんだよ。さまざまな制限行為などに該当しないか、並々ならぬ苦労が日建連にはあった。可能な範囲で話すけど、日建連という団体自体がそもそも独禁法の網の中に存在する。公正取引委員会は「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」というものを定めていて、団体としてやってはいけないこと、一方で競争を阻害せず、公益性が認められる場合ならばこの程度はセーフなど、膨大な項目について公取委としての考え方や事例などをまとめている。それらを一つひとつつぶしていって、今回の宣言にこぎ着けたわけだ。宣言内容を公表した記者会見では、宮本洋一会長や建築分野を所管する蓮輪賢治副会長の発言から、いつも以上に熱を感じたのは事実だ。

C 民間建築では、ゼネコン側がそもそも8閉所を前提にしていなかったり、対発注者間の「請け負け」で認められなかったりが多いと聞く。変革の風穴になることを大いに期待したいね。

日建連が「適正工期確保宣言」を打ち出した21日の記者会見

◆日空衛、電設協は4週8閉所を提案】

D 日本空調衛生工事業協会は19日、日本電設工業協会が20日にそれぞれ開いた理事会で、原則4週8閉所を発注者に提案することを申し合わせた。日建連の対応については、設備業界も歓迎している。

A 日建連の「適正工期確保宣言」によってそれが求めやすくなったわけだ。

D 日空衛は要請活動を全国で提案していく。各支部や団体会員を通じ、都道府県に対して民間発注者への適正工期を順守するよう要請することにした。電設協は、支社・支店などにまで広げて最終的には個々の工事現場で今回の申し合わせにある行動をとってほしいとしている。

C 建設行為全体の後工程を担う設備工事業は、価格・工期の面でしわ寄せが生じやすい。それに加えて、アフターコロナで受注が各社増えているという状況もある。

A 施工体制上、下請けになることも少なくなく、自助努力だけでは解決できない壁があるから、業界全体でゼネコンを含めた発注者へ働き掛けることが重要となる。

B 両協会は、3月にも共同で要請活動することを表明していた。

D 適切な工期設定と契約変更などについて、両会長が関係機関や団体に出向いて共同要請をした。両団体が課題解決に向けて行動をともにするのは知りうる限り初めてではないか。

C 今回の両協会の申し合わせに基づく提案も連携の延長線上であって、共同要請の第2弾ということになる。

A 企業経営として必須となる「働き方改革関連法」の順守まで残り約8カ月。建設産業界が一体となって、ラストスパートの取り組みを進めていくことは不可欠だろう。
 
 

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