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5月2日 金曜日

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【記者座談会】夏休み中の現場見学会が盛況/日建連の4週8閉所実績

◇将来の担い手候補の声を集めよう

日建連・けんせつ探検隊で大型重機を見学する子どもたち(栃木県栃木市)


A 夏休みが始まり、各地でたくさんの親子連れが、普段見られない建設現場の見学会に参加しているようだね。

B 夏休みに限ったことではないが、国土交通省やNEXCOなどの発注者や、日本建設業連合会などの業界団体が主催する子ども向けのイベントが全国で開催されている。

C 毎年大々的に展開する日建連は、7月から順次、全国22カ所の土木・建築現場で「けんせつ探検隊」と銘打った見学会を開いている。規模は年々拡大し、22現場での開催は、2015年度にスタートした前身イベント「けんせつ小町活躍現場見学会」を含めて過去最多という。

D 栃木県内で初開催となった栃木市での探検隊を取材した。現場は、栃木県の「一級河川巴波川地下捷水路本体建設工事」で、親子連れ9組20人が集まった。大型重機による立坑工事を見学した後、バックホウや高所作業車、測量機器の操作を体験していた。

B NEXCOの現場見学では、参加した保護者からも「普段立ち入ることのできない現場でエレベーターや運搬用モノレールに乗車するなど、貴重な体験ができた」と喜びの声があった。

D 質問コーナーが設けられることも多く、子どもたちの質問は意外に鋭い。栃木の見学会では、「シールドマシンは1日にどれくらい進むのか」「大雨が降ったら立坑の中はどうなるのか」などと多くの質問が投げ掛けられた。

B 「人がする仕事は何」と問う子もいた。ICT施工などで省人化や自動化が進む中、逆に人がするべき仕事は何なのかと気になったようだ。

C 子どもの感性や視点は本当に大切だね。もっと積極的に現場を公開して建設のリアルを知ってもらうとともに、将来の担い手候補の生の声やニーズももっと集めるべきだ。

◇「適正工期確保宣言」が奏功、建築現場で大幅改善

A 休みと言えば、大手・準大手クラスのゼネコンの建設現場で、土曜閉所の動きが加速してきているようだね。

B 日建連がまとめた週休二日実現行動計画に基づく2023年度通期のフォローアップ報告書によると、4週8閉所以上を達成した割合は、土木が前年度より11.6ポイント上昇して66.1%、建築は8.3ポイント上昇の39.1%となった。発注者側の理解と協力が進む公共工事が中心の土木に比べて、民間工事が主体の建築はまだまだ閉所率が低いものの、ここ数年の足踏み状態を勘案すると、大幅に改善が進んだと言える。

C 時間外労働に上限規制が設けられる「24年問題」を前にして、建築分野もお尻に火が付いたといったところか。民間建築工事を巡っては、4週8閉所・週40時間稼働を原則とした初回見積書の提出に、日建連会員が足並みをそろえる「適正工期確保宣言」の取り組み効果が上がってきたという側面もある。

B 交代制などによる個人ベースでの休日取得状況になると、4週8休以上の割合は、土木で88.4%、建築でも81.5%に達する。将来の担い手確保なども見据えると、現場閉所が理想的であることは変わらないが、最低限として、技術者個人単位での週休2日はほぼ確保されている。

C 建設業などに特別に与えられた猶予期間の最後の1年に、現場閉所が加速したのは間違いないが、それでも土木で6割半ば、建築で4割弱という実態は評価が分かれるところだろう。現場閉所や週休2日は、上限規制という法令順守に向けたツールの一つであり、その達成が目的ではないことを忘れてはならない。工事関係書類の削減・簡素化をはじめとする平日残業の抑制など、総合的な手だてを講じて万全を期す必要がある。

 

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