【記者座談会】適正工期確保宣言が本格始動/3Dプリンターが進化 | 建設通信新聞Digital

5月18日 土曜日

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【記者座談会】適正工期確保宣言が本格始動/3Dプリンターが進化

◇例外を容認しない意志が重要

日建連の適正工期確保宣言の説明用パンフレット。宣言には協力会社からの見積もりも尊重することが明記されている


A 日本建設業連合会が「適正工期確保宣言」を本格実施するということだけど、この宣言は7月の理事会で決定したと思っていたが、どう違うの。

B 7月の理事会では、会員各社の同意を得て宣言を決定したけれど、まだ全社統一で実施できるほどの準備が整っていなかった。2カ月が経過して一斉にできるようになったということだ。9月22日の理事会以降は、民間発注の建築工事では日建連会員が実施する新規の見積もりは、4週8閉所、週40時間稼働を原則とした適切な工期で見積もったものになった。

C 日建連の適正工期確保宣言や全国建設業協会の適正工期見積もり運動に対し、9月20日には日本空調衛生工事業協会が「評価する」という声明を出した。適正工期確保は結局、設備をはじめとする技能者を抱える専門工事会社の理解を得ることが不可欠だ。その意味で、ゼネコンとサブコンが同じ方向を向いていることを確認できたのは大きな前進だと思う。

B 日建連の宣言では、発注者に対して適正工期を前提とした見積書を提出することとともに、「協力会社から真に適切な工期を前提とした見積もりがなされた場合は、見積もりと工期・工程を確認した上でこれを尊重する」という文言が明記されている。専門工事業に対する発注者である元請けとしての姿勢を示したものだろう。こうした姿勢が日空衛などからの理解につながっていると思う。

C 元請け、サブコン、専門工事業のいずれも、それだけ2024年問題への対応に真剣だということだ。各社の経営陣が「この案件は仕方ない」という例外を容認しない強い意志を持てるかが問われている。ぜひ4週8閉所を業界一丸となって達成してほしい。

 
 

大成建設の7軸自由度3Dプリンター

◇7軸自由度持たせ大きな一歩

A 大手ゼネコンやベンチャー企業による建設分野向けの3Dプリンターの技術開発が活発だ。担い手不足や24年4月から始まる時間外労働の上限規制への対応などの課題を抱える建設業界にとって、省力・省人化につながる最先端技術として期待が高まっているね。

B 大成建設が、多関節ロボットと建設用3Dプリンティング技術を融合した7軸自由度の3Dプリンターを開発したね。6軸では不可能だった鉄筋の裏側に回り込む造形が実現でき、適用範囲が大きく広がった。レールを延伸することで長さ7.2mを超える大型RC部材の製作にも対応可能で、開発技術を使って自由曲面を持つ大型RC構造物の現場施工も実現する。大成建設の担当者は「大きな一歩を踏み出した」と充実感が漂っていた。

C ほかにも、不動テトラとPolyuse(ポリウス)は、3Dプリンターでテトラポッド型の造形物を製作した。従来の型枠によるコンクリートブロックの製作工程では、作業員の経験や感覚に頼る工程が多く、機械化が容易でないなどの課題があった。型枠を使用した現行の製作方法とは異なり、ICT施工の適用による機械化や省人化、高効率化が見込めるという。

D 技術開発を後押しするように、土木学会は設計・施工指針をまとめるようだ。学会による明文化は建設の大前提となる安全・安心の客観的な確保につながる。指針では、プリント物の性能に与える材料やマシン、環境条件といった要因の整理、積層体や現場打設コンクリートとの一体性の評価方法などが体系的にまとまると良いね。

A 最先端の建設DX(デジタルトランスフォーメーション)技術の開発に胸が高鳴る。建設業の明るい未来につながってほしい。

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