【記者座談会】日建連が生産性向上フォローアップ報告書/財政審の20年度予算編成建議 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【記者座談会】日建連が生産性向上フォローアップ報告書/財政審の20年度予算編成建議

A 日本建設業連合会(山内隆司会長)が生産性向上推進要綱にかかる2018年度フォローアップ報告書をまとめたが、生産性は上がっているのだろうか。
B 生産性指標の「技術者・技能者1日(8時間)当たりの施工高」(会員企業の土木・建築平均)は前年度と比べ3.86%上昇し、9万3282円となった。各社の生産性向上に関する取り組みの成果は着実に表れてきており、06年度以降で最高値を更新した。
C 建築については病院や再開発施設などで、省人化の効果が大きいと言われるS造を採用するケースが増え、6.55%増の9万7617円と過去最高に達している。土木は0.78%減の8万5449円。人海戦術の除染作業が最盛期を迎えていた13~15年度は7万円台前半で推移していたが、除染作業が一巡したことで16年度には8万2000円を突破。それ以降は8万円台半ばを維持している。
A 今回から「土木・建築の完成工事高から完成工事総利益を控除した数値」も新たに出したようだけど。
B 土木・建築平均は8万1899円だった。土木・建築別で算出していないものの、過去9年までさかのぼって調査した結果、最高値だった09年度の8万2853円に次いで2番目だった。また、15年度から年々上昇している。
C 生産性の考え方には物的労働生産性と付加価値労働生産性の2種類がある。前者は労働量の比較対象が生産量であるのに対し、後者は企業が新たに生み出した金銭的価値だ。生産性向上の実態をより詳細に把握するため、それぞれの観点を踏まえた算出手法を導入しているのだろう。
B 生産性向上に関するアンケートの結果では、全体の8割以上が生産性向上を重要課題に位置付けている。各社の意識の高まりとともに、生産性向上がさらに進み、建設業界全体の就労環境改善にもつながっていくことを期待している。

財政制度等審議会の榊原定征会長(左)から建議を受け取る麻生太郎財務相

◆引き続き「量」から「質」への転換求める

A 話しは変わるが、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が20年度予算編成に関する建議(意見書)をまとめた。
D 社会資本整備については、引き続き「量」から「質」への転換を求めている。人口減少、維持更新コストの増加、維持・整備の担い手の減少などを踏まえれば、「量」を拡大する状況にはなく、新規採択を厳選した上で、既存ストックを最大限活用する観点から「使い方」を改善すべきだと主張している。
A 災害の頻発化や激甚化はどう捉えているのだろう。
E 台風や集中豪雨による深刻な被害など大規模な災害が続き、堤防やダムなどハード面の対策を求める声があることには触れている。しかし、ハード整備だけではなく、土地の利用規制・都市計画などソフト面の方策を要件化した上でストックを整備する必要があると指摘している。
A 建議を受けて、これから本格化する20年度予算案の編成作業にはどう影響するのか。
D 建議では量から質へというものの、実態は与党内から国が財政資金を直接支出する「真水ベース」で10兆円規模の19年度補正予算案を求める声があり、歳出圧力が高まっている。政府は補正予算も含めた「15カ月予算」と位置付け、10月に東日本を襲った台風19号などを踏まえた災害対策や、景気下支えを柱にした新たな経済対策を盛り込む。
E 経済対策の策定は16年度以来約3年ぶりで、19年度補正と20年度当初の各予算に振り分ける。災害対策に関しては、堤防やダム、河川施設の増強など防災機能の強化が中心となる見込みだ。

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