【記者座談会】政府骨太方針/日合協会長に舗装会社社長 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】政府骨太方針/日合協会長に舗装会社社長

A 政府が7日の臨時閣議で「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針)」と「新しい資本主義」のグランドデザイン・実行計画を決めたね。

B 岸田政権として初めてまとめたもので、骨太方針や新しい資本主義の実行計画では、官民が連携して気候変動やデジタルなど社会的課題を解決しながら経済成長を目指すため、人、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)の5分野を柱に重点投資することを掲げた。

C 人への投資では、転職やキャリアアップ支援のため2024年度までの3年間で4000億円規模の予算を投じる。企業に男女間の賃金差の開示も求める。GXでは脱炭素社会の実現に向け、10年間で150兆円超を投資する。政府は「GX経済移行債(仮称)」を発行し、民間の投資を呼び込む方針だ。

A 建設産業関連の記載はどうなっているのか。

B 中長期の経済財政運営の中に「生産性を高める社会資本整備」を組み込み、インフラ分野のDXを加速して生産性を向上すると明記した。財源対策の検討として、高速道路更新事業を確実に実施する方策の導入、新幹線の防災・減災の費用負担の在り方の議論を盛り込んだ。

C 防災・減災、国土強靱化は、必要・十分な予算を確保すると明記した。インフラ老朽化対策などに加え、気候変動に伴う災害リスクに対応するグローバルな新事業機会の創出も位置付けた。

B 社会課題の解決に向け、PPP・PFIの活用による官民連携推進、「社会的インパクト投資」を呼び込む環境整備の記載もあり、ここにはインフラ関係も含まれる。公共事業、つまり「公による投資」の一部が、いま以上に「民による投資」に置き換わる可能性を示したといえる。

ストアスの価格抑制と適正転嫁に期待

 

日合協の総会で今泉会長は原油価格や供給不安に言及した

A ところで、2日に開かれた定時総会で、日本アスファルト合材協会の執行体制が刷新されたね。8つの道路舗装会社の社長が理事に選任され、前田道路の今泉保彦社長が会長に就いた。

D 東日本大震災の発生前までは、道路舗装会社の社長が日合協の理事を務めていたため、日本道路建設業協会の執行体制と重複する部分が多かった。ただ、東日本大震災に伴う舗装災害復旧工事の入札談合をきっかけに、その責任を取る形で日合協の要職を辞任した。日合協会員には地元のプラント工場も少なくないだけに「迷惑を掛けられない」との思いがあったようだ。

E それ以降は各社の合材製造部門を管理する部長などを充ててきた。なぜ、このタイミングで再登板することになったのだろう。

D 先の一件のみそぎを果たしたこともあるだろうが、何よりも高止まりするストレートアスファルト(ストアス)の価格抑制と、合材価格への適正な転嫁によるところが大きい。低調なアスファルト合材の年間製造数量も加わり、合材製造工場の経営状況は既に苦しい。合材の「製造・販売者」と「購入・施工者」の両方の顔を持つ道路舗装会社への影響も現実味を増すだけに、団体間の連携を強化し改善への道筋を早期に見いだす必要性に迫られている。

E 今泉会長は就任のあいさつで、「急激な円安に代表される金融資本市場の変動により、原油価格の高騰や供給不安が懸念される」とし、合材価格へのさらなる波及に危機感を募らせていた。一方、窮状打開への強い意志もにじませていた。

D 日合協の幹部は「必要に応じて関係機関への要望活動などを実施し、改善への手立てを講じていく」と話している。今後の動向が注視されるね。

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