【記者座談会】2023年度の概算要求/自治体の9月補正予算案出そろう | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】2023年度の概算要求/自治体の9月補正予算案出そろう

A 2023年度予算の概算要求が発表された。国土交通省の要求内容はどうなっているかな。

B 一般会計の公共事業関係費は、前年度当初比19.0%増の6兆2443億円だった。さらに「現下の資材価格の高騰等を踏まえた公共事業等の実施に必要な経費」として、要求額を示さない事項要求をしていることが例年と異なる。

C 資材価格が日々高騰する中、公共事業関係費が横ばいであれば、実施可能な公共事業量が目減りすることになる。資材価格の高騰分をカバーする予算を別に確保することで、全体として必要な公共事業量の確保を目指している。

D 整備新幹線の建設も資材価格高騰に直面しているため、「整備新幹線の整備に追加的に必要な経費」を事項要求した。国費では整備費に804億円を要求している。

A 毎年度の予算編成過程で検討するとしている「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」はどうなっているかな。

B 次は3年目の予算を措置するタイミングで、22年度予算の概算要求と同様に事項要求とした。ただ、過去2年分は補正予算で措置しているため、今回も同じ形に落ち着く可能性がある。

C 予算関連では、翌年度繰越額が多かったため、公共事業関係費が過大で消化されていないと指摘する報道が最近見受けられた。8月26日の閣議後の会見で見解を問われた斉藤鉄夫国土交通相は、これをきっぱり否定したね。

D 「その認識は決して正しくない」と語気を強め、契約率などのデータを示しながら「順調に契約・執行できている」と反論した。政府全体の公共事業関係費の8割を占める国交省のトップとして、予算編成を前にいらぬ誤解が広がらないようにとの思いが発言に込められていたようだ。

国交省では資材、新幹線、強靱化と事項要求が多く、年末の予算編成に向けた駆け引きが注目される

事業者の負担軽減に独自策

A 地方自治体では、少子高齢化や人口減少など顕在化する課題に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた地域経済や高騰する原油・資機材価格への対応など、難しい課題へのかじ取りが求められている。国では概算要求の提出が締め切られたが、東京都内の各自治体では重要施策を盛り込んだ補正予算案がまとまり、いよいよ9月議会でその審議が本格化する。

B 八王子市の取り組みに目を向けてみたい。石森孝志市長は8月26日に開いた記者会見で、(仮称)給食センターの整備事業費を増額すると発表した。この事業では、原油価格高騰で鋼材価格などが上昇したため、工事費が当初の見込額を上回った。そこで市は520万円を増額補正し、事業者の負担を軽減する独自策を講じた。

C 地方建設業は後継者不足やガソリン代などの必要経費の負担増により、事業継続に頭を抱える事業主が多い。事業規模の大小を問わず、資材価格の高騰で打撃を受けている。今回の八王子市のような対応は、民間企業にとって大きな助け船になるね。

B 同市は9月末までにマイナンバーカードを申請した人を対象に独自の施策も展開する。国のキャンペーンと連動して「八王子マイナポイント」を付与し、生活を支援するとともに、カードの普及を促進しようとしている。

D なるほど。例えば、国の「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」による臨時交付金を活用した事業者への支援策にも、地域特性を踏まえたきめ細かな対応が加われば、地域をさらに元気にさせる効果が期待できるかもしれない。そうした相乗効果を生み出す手腕を行政に期待したい。

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