東洋紡は、フランスの政府機関である原子力・代替エネルギー庁(CEA)と共同研究していた有機薄膜太陽電池(OPV)用発電材料について、室内の明るさで世界最高レベルの変換効率を実現するセル・モジュールの試作に成功した。温湿度センサーや人感センサーなどのワイヤレス電源用途を中心に提案し、2022年度中の採用を目指す。
同社は、CEAとの共同研究によって、溶媒の種類や塗布の手法を最適化し、高い変換効率を持つガラス基板のOPV小型セルや軽くて薄いPETフィルム基盤のOPVモジュールを試作した。
薄暗い室内と同等の220ルクスのネオン光源下の検証では、卓上電卓に使用するアモルファスシリコン太陽電池の1.6倍に相当する約25%の変換効率を確認した。ガラスよりも発電材料の塗布が難しいPETフィルムを基盤としたモジュールでは、有効面積18平方cmの試作品が220ルクスの環境下で約130マイクロワットの出力を達成した。