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【商人の息づかいを残す】建築家・山岡嘉彌氏に聞く 旧江戸御府内最古の店蔵保存再生への道

最終更新 | 2020/04/15 16:33

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 東京都港区の南麻布で、旧江戸御府内に江戸時代から唯一現存すると言われる店蔵の保存再生プロジェクトが始動した。160年以上の歴史を刻んできた店蔵は、建築家の山岡嘉彌氏(山岡嘉彌デザイン事務所代表)の自邸でもある。店蔵は一旦解体され、集合住宅内のほぼ同じ位置に建て替えられるが、歴史的価値の高い重厚な梁や大戸、箱階段などは保存活用し、随所に江戸の面影を残す。南麻布(旧麻布本村町)はかつて、多数の蔵がある商人のまちだった。山岡氏は「麻布発祥の地の最後の砦として、ここだけは残しておきたいという思いはあった。建て替え後にもまちのアイデンティティーを引き継いでいきたい」と力を込める。

山岡嘉彌氏


 店蔵の建て替えは、「旧江戸御府内最古の店蔵保存再生プロジェクト/麻布本村町集住計画」。現在は専用住宅として使われている木造2階建て(土蔵造り)の店蔵と、同2階建ての母屋をRC造地下1階地上4階建て延べ1200㎡の集合住宅に建て替える。敷地面積は南麻布3-3の452㎡。設計は山岡嘉彌デザイン事務所、施工は白石建設(東京都杉並区)が担当する。

 江戸時代、店蔵のある南麻布三丁目周辺には仙台藩の下屋敷があり、いまも「仙台坂」と呼ばれる坂道が残る。山岡氏は宝暦年間(1751-1764年)に近江から移り住んだと伝えられる商家の17代当主で、先祖は仙台藩下屋敷の出入り商人だった。店蔵は戦前まで薬、炭、米などを扱う商店として機能していた。

店蔵の外観 (撮影:坂口裕康)


 店蔵と母屋は「港区の歴史的建造物」でも紹介されている。店蔵の入り口の内側上部には、「安政七庚申正月廿五日、建具屋治助、造之」という墨書が残る。山岡氏は、「古い建物だということは知っていたが、旧江戸御府内で現存する最古の可能性がある店蔵だということは港区の調査を受けて初めて知った」という。

 母屋の歴史も古く、現存する建物は1933年に建て替えられた。山岡氏は、「氷川神社で棟梁だった久保田鐘吉が手掛けた」と説明する。通り前面に店蔵、その後方に居住棟がある建築構成は関東地方特有の町家形式だ。

 生まれも育ちも南麻布の山岡氏は、「戦後直後は自宅が面した通りには江戸時代からの短冊状に連なる敷地に店蔵が残っていたが、高度成長とともに次々と住宅に建て代わっていった」と、風景の移り変わりを振り返る。かつては乾物屋や魚屋など30数件の商店があったが、家主が亡くなるなどして櫛の歯が欠けるように姿を消していった。

 「麻布発祥の地と言われる麻布本村町最後の店蔵を残す」という使命感で、住みながら建物を守り続けてきたが、築後161年が経過する中、柱・梁の傷みなども出始めている。「一昨年の台風で蔵の特徴である置き屋根が損傷し、応急措置でしのいだが、このまま住み続けることは難しい」と判断した。

 集合住宅への建て替えに当たっては、「文化性、歴史性を継承し、地元に貢献する」をコンセプトに、外観には店蔵の面影を色濃く残す。
 1階部分のエントランス空間には店蔵の梁や大戸などを再利用し、帳場の再現も計画している。床には風合いのある大谷石を敷き詰める。店蔵の保存再生によって、設置できる戸数は減少するが、歴史性を引き継いだ居住者のコミュニティースペースとして江戸の風情を残すことにした。

完成予想模型 (提供:山岡嘉彌デザイン事務所)


 周辺には各国の大使館やインターナショナルスクールが数多くあることから、5戸の賃貸住宅はいずれも約40坪(132㎡)の広さとし、外国人ファミリーなどのニーズに応える。

 山岡氏の案内で店蔵の内部を見せてもらうと、引き戸の入り口を通ってまず目に入るのが大戸だ。使わない時には天井に金具で固定されているが、夜間などは引き戸内側で防犯シャッターの役割を果たす。金具を外して持ってみるとずっしりと重い。潜り戸などの動きもスムーズで、いまなお現役で活躍している。

 「地方に残る豪商の蔵には強靱性やスケールで及ばないが、江戸商人が暮らしてきた息づかいの力がある」。店蔵とともに人生を歩んできた山岡氏はこう語り、プロジェクトで文化と歴史を次代につなぐ。

 店蔵などの解体は早ければ5月から始まり、集合住宅の完成は2021年8月を予定している。

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