【社会と土木の100年ビジョン】土木学会が新5ヵ年計画策定 目標実現へ4プロジェクトを推進 | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

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【社会と土木の100年ビジョン】土木学会が新5ヵ年計画策定 目標実現へ4プロジェクトを推進

 土木学会(林康雄会長)は、新たな5カ年計画「JSCE2020-2024~地域・世代・価値をつなぎ、未来社会を創造する~」を策定、安全・安心、国際、コミュニケーション、人材を柱とする中期重点目標の達成に向け、4つのプロジェクトを遂行する。プロジェクトリーダーの強いリーダーシップに基づき活動を展開し、「社会と土木の100年ビジョン」で目指すべき将来像として掲げている「あらゆる境界をひらき、持続可能な社会の礎を築く」を実現する。

土木学会5カ年計画(正式名称)の通称を、JSCE2020-2024、略称をJSCE2020とし、5カ年計画の趣旨が端的に伝わるように副題として「地域・世代・価値をつなぎ、未来社会を創造する」を定めるとともに、ロゴマークを作成した


 各プロジェクトのリーダーや目的、施策などをみると、「土木を軸に国難災害に立ち向かう-複合・巨大災害の全体像の解明と横断的対応体制の提案-」は、東京大学の目黒公郎氏がプロジェクトリーダーを務める。首都直下地震や南海トラフ巨大地震を始めとする国難レベルの自然災害から、土木技術を通じて国民の生命や財産を守り、生活環境、社会機能、国土を保持するととともに、有事の不測事態を回避する実現可能な方策を広範な知見を基に提示する。また、国難災害に取り組むため分野横断で官民学からなる横断的対応体制を確立する。
 具体的には、巨大地震や気象災害、複合災害の事例調査分析・影響評価、複数都市圏同時災害の多視点・多角的分析、防災関連の法制度などの対策が不十分な課題、分野間ギャップなどの明確化、実効性の高い対策と体制の提案に取り組む。

 「メンテナンスの担い手を育て、インフラを守る-インフラメンテナンスの確実な実施のための教材・人材開発と自治体支援を視野に入れた枠組み構築-」は、東北大学の久田真氏がプロジェクトリーダーとなる。
 独創的で先導的なインフラメンテナンスの実践に関わる取り組みを全国的に展開し、社会実装を進めることで、地方自治体におけるメンテナンスの着実な実施を推進する。また、初学者向けのメンテナンス教材を開発し、メンテナンスに関する国民の理解度向上やイメージアップを図る。
 メンテナンスに関する教材開発・ライブラリー化(初学者向けJMOOCのコンテンツ作成)、支部や地域大学、住民を活用した自治体支援(住民参加型メンテナンス活動の全国展開、舗装を対象とした出前講座)、メンテナンスを通じた「未来のインフラ」のあり方の提言を計画している。

 「土木映像の蓄積と活用-映像クリエーターになって世界に伝えよう-」のプロジェクトリーダーは日本工営の小松淳氏。土木学会のあらゆる活動を映像として記録・蓄積した上で、再利用するための方策を整え、永続的な利用環境を構築する。
 土木界の建設現場、土木遺産、災害調査、研究成果発表、行事などの活動を記録した映像を収集して公開するほか、公開に向けたルールづくり(コミュニケーション・マニュアル)を進める。
 蓄積用のアーカイブと公開用のライブラリーの構築・運用、収集された映像を幅広く効果的に活用するための映像タイトルの制作、映像・字幕編集などを実施、土木学会として短編映像作品を制作し公開する。
 本部でニュース、インタビュー、インフラ解説映像などを配信し速報性の高い情報発信を実施するとともに、定期的に初期アーカイブの充実を図る。社会支援、国際部門を中心に災害調査、インフラ維持管理など即時性の高い事象について、学会独自の映像配信と英文字幕・音声映像を情報発信し、アーカイブ化する。

 「土木D&I(ダイバーシティ・インクルージョン)2.0に向けた活動の場とツールをつくる」は 早稲田大学の佐々木葉氏がプロジェクトリーダーを務める。
 これまで推進してきた土木学会のD&Iの成果と活動実態を踏まえ、対象者と取り組みの裾野の拡大を図るための積極的なプラットフォームを構築する。また、各職場のD&Iの進み具合、成果を意識化することで、土木界のD&Iを進展させるツールを作成する。
 具体的には、アクティブなプラットフォームの構築(SNS・ウェブサイトなどを活用したネットワークの形成、国際連携、組織的位置付け・部署設置検討)、実態・成果の意識化・展開のための土木界向けツールの作成(既存主体のコラボによる調査&Discussion、土木界向けツールの開発、プロモーションとフィードバック)を予定している。

 各プロジェクトとも中期重点目標の実行性を高めるのが狙い。計画期間中は必要に応じてプロジェクトを追加していく。1プロジェクト当たりの活動期間は3年程度とし、最大5年まで認める。予算は最大300万円程度を確保する。

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