【的確な避難誘導に効果】大成建設 あらゆる状況を試せる人流シミュレーションシステム開発 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【的確な避難誘導に効果】大成建設 あらゆる状況を試せる人流シミュレーションシステム開発

 大成建設は、あらゆる状況での歩行者の移動を定量的に評価するマルチエージェント型の人流シミュレーションシステム「T-Multiagent JINRYU」を開発した。建物内部の状況や歩行者の属性を考慮しながら、緊急時・平常時の混雑や避難経路の制約など周辺状況を踏まえた行動を予測・再現できる。効率的な避難誘導や対策の検証に役立つ。

人流シミュレーションシステム


 新たに開発したマルチエージェント型の人流シミュレーションシステムは、建物の内部にある壁や什器の形状・配置、エレベーターや階段などの設定だけでなく、歩行者の年齢・性別、歩行能力といった個別の特徴(属性データ)や目的地までの経路データを設定することが可能。

 車いす利用者など移動速度の異なる避難者が混在するケースや高齢者など階段を昇降する際の疲労による歩行速度の低下を考慮することで、あらゆる状況・空間における歩行者の移動や個々の避難状況を的確に再現できるという特徴を持つ。

 多くの人々が集まる商業施設や劇場・ホールといった大規模な集客施設は過度な混雑が生じた場合に事故などにつながる恐れがあることから、地震や火災が発生した際にスムーズに避難できる動線計画が重要となる。

 高齢者や障がい者などを含めた年齢、性別、歩行能力の異なるさざまな歩行者を想定しながら、あらゆる状況で安全かつ迅速に移動できる計画立案が必要となるからだ。

 平常時であっても防犯や安全性の観点から過度な混雑を防ぐだけでなく、 とりわけ商業施設での回遊性の向上(定量的な評価) に適用できる。

 同社は、これまで一般的に適用されてきたマルチエージェント型のシミュレーションに経路の熟知度に関する設定やエレベーターを待つ行列の形態など複数の機能を組み込むことで、幅広い用途に万能に機能する仕組みを構築。

 例えば、 火災によって生じる煙の濃度や浸水 (深さ)による歩行速度の低下も考慮。煙の拡散や浸水シミュレーションを組み合わせることで、商業施設などの大規模な集客施設や超高層オフィス、集合住宅、 地下インフラなどをターゲットに効果的な避難誘導を検討。より安全性の高い空間づくりを進めていく。

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