【奥村組・ジャストが開発】下水道管渠の損傷検出システム AI活用で内部の調査業務を効率化 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【奥村組・ジャストが開発】下水道管渠の損傷検出システム AI活用で内部の調査業務を効率化

 奥村組とジャスト(横浜市、安藤純二社長)は、下水道管渠の維持管理における管渠内部の調査業務を効率化しながら、損傷判定の品質を確保するAI(人工知能)を使った下水道管渠の損傷検出システムを開発した。

システム導入後の管渠調査業務フロー

 下水道管渠の詳細調査は、直視レンズのテレビカメラ機器で管渠内部を撮影し現場でその映像を基に損傷個所を検出するとともに、損傷判定結果を映像に付記して録画する「従来型テレビカメラ調査」と、広角レンズのテレビカメラ機器で管渠内部を撮影し、事務所で録画映像による損傷判定などを行う「広角テレビカメラ調査」の2つの方式がある。
 広角テレビカメラ調査は、側面や天井を撮影する際にカメラを上下左右に操作する必要がなく、管渠内部をテレビカメラが自走しながらスムーズに撮影する上、損傷判定などの作業を天候の影響を受けない事務所内で行える利点があり、今後主流となることが見込まれている。
 今回開発したシステムは、広角テレビカメラ調査にAIを使って、技術者の判定結果を高精度に再現するもので、システムの導入により調査業務のさらなる効率化と損傷判定の品質を確保できる。適用対象は、管径200mmから800mmの鉄筋コンクリート管と陶管で、広角テレビカメラで撮影した動画を、既存ソフトを使って展開画像への変換と画像分割を行った上でシステムに入力する。その画像をAI解析して管構造情報(取付管の位置、管のジョイント位置)と損傷情報(損傷の位置、種類、傷の程度)を1スパン(約30m)当たり15秒程度(一般的な性能のパソコンにシステムを導入し試行)で取得する。
 AIが損傷個所を抽出(無損傷個所との区分)するため、技術者はこれまでのように全延長を確認する必要がなくなり作業量が軽減される上、解析結果としてシステムから自動出力される損傷情報を付記した展開画像、管構造情報と損傷情報のリストの確認に注力でき、損傷判定精度の向上も見込める。また、出力された解析結果は調査業務報告書の資料としても活用できるため、報告書作成業務も軽減されるという。
 今後、教師データの収集とAIの再学習による検出精度の向上、管の種類や管径などの適用範囲の拡大を進め、システムの機能向上を図っていく。