【材料噴射型で直接3D印刷】施工期間を4割短縮/清水建設 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【材料噴射型で直接3D印刷】施工期間を4割短縮/清水建設

材料噴射型3Dプリンティングの現場適用

 清水建設は、実現場における有筋構造部材の施工に材料噴射型3Dプリンティング技術を初適用した。実現場でのオンサイト施工に際し、ロボットアーム型のモバイルプリンターと自動材料製造装置を新開発した。10tトラックで現場に運搬し、断面積0.4㎡、高さ2mの有筋構造部材を計画位置で直接施工した。材料噴射から表面仕上げ完了までの時間は1体当たり2時間50分で、在来工法と比べて施工期間の約4割短縮を確認した。

 適用対象は、日本製鉄から受注した、瀬戸内製鉄所阪神地区(堺)内の製鉄設備建設工事のうち、設備基礎となるRC柱2体の施工となる。

 同社は、以前から省人化施工に寄与する建設3Dプリンティングの実用化に向けた技術開発を進めている。2019年に材料押し出し型3Dプリンティング用の繊維補強セメント複合材料「ラクツム」を開発し、建築・土木の施工案件に適用してきた。

 ただ、材料押し出し型は、プリント材料をノズルの真下へ押し出しながら積層するため、鉛直方向に配置する鉄筋を造形物の中に組み込むことができず、有筋構造部材を直接造形するのは困難だった。

 そこで、プリント材料を圧縮空気によってノズルから噴射しながら造形物を製作する材料噴射型3Dプリンティング技術に着目した。新たに開発したプリント材料を鉄筋の外周から吹き付けていくことで有筋構造部材を造形する技術を構築した。

 この技術による構造部材のプリンティングでは、ロボットアーム型の3Dプリンターを利用し、プリント場所に配置した鉄筋の側面から内部に向けてプリント材料を吹き付けていく。具体的には、鉄筋の外周を旋回するロボットアーム先端のノズルからプリント材料を斜め下方に噴射。鉄筋内部への充填が完了した後、表層全体にプリント材料を重ねて吹き付ける。

 造形体は構造性能にも優れ、在来工法で施工したRC部材と同等以上の構造耐力と靱性を持つ。RC構造物の施工に利用されてきた木製型枠の使用量が減ることで、環境負荷の低減効果も見込む。

 同現場では、材料押し出し型のプリンティングにも取り組み、同じモバイルプリンターを使って水槽構造物(縦6.5×横4×高さ2m)の型枠も構築した。

 今後は新設構造物だけではなく、既設構造物の補修・補強、応急復旧への適用も視野に技術開発を進めていく。

 

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