【建設業特化の"強み"生かす】フォトラクション新事業 人とAIが精度100%の代行作業実現 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

公式ブログ

【建設業特化の”強み”生かす】フォトラクション新事業 人とAIが精度100%の代行作業実現

 建設系の生産情報一元管理システム『Photoruction』で注目を浴びる「フォトラクション」(東京都中央区、中島貴春代表取締役CEO)が、新たなステップとして、建設BPO(外部委託)事業『Photoruction Eye』を立ち上げた。写真整理や帳票作成などの業務を請け負い、データをPhotoructionにアップロードすれば、AI(人工知能)とオペレーターが完成した状態で顧客に返す。建設業に特化したシステムと人材を“強み”とし、コスト、精度、速度の面で高い競合優位性を発揮する。

 Photoructionは、写真や電子黒板、書類、図面、業務指示、各種検査、工程表などのデータ整理や資料作成を一元管理できるアプリ。建設業特化型に開発したAI『aoz cloud』(アオズクラウド)が写真などから工種などを自動で判定して類分けする。ただ、このAIを開発する中で、中島代表取締役は「データがあれば自動化は可能だが、やはり限界がある。人手不足の根本的な解消にはつながらない」と考えていた。

中島CEO


 その理由は、「例えば写真の工種を判定するAIは工種判定しかできず、1つのAIでできることが少ない」からだ。写真1枚から区分、工種、種別など多様な情報を判定できるようになるためには「AIをたくさん作らなければならず、データが貯まるのを待たなければいけない」という。

 この弱点を補完するのが、Photoructionのオプションサービス「Photoruction Eye」だ。AIができない部分を専門のオペレーターが入力し、「100%の精度で顧客に返す」。スタート当初はオペレーターが関与する比率が高いものの、データが蓄積されればAIの精度が上がり、速度、精度、価格といったサービスレベルが向上する。

 業界全体が人手不足の中で、専門オペレーターの確保も難しいという課題も考えられるが、「一連の業務を請け負うと専門の知識が必要になるが、業務を縦に分割する点が強みになる」と明かす。AIに学習させられる業務はすべてルール化(標準化)できるため、「例えば配筋検査野帳の作成も、アップロードされたデータが図面かどうかを判断するとか、図面の数値を読み取って何階かを判断するなど、業務を縦に分割することで作業を簡単にする。全部を1人のオペレーターが担うのではなく、オペレーターとAIの力で業務配分を最適化するのが、事業上のチャレンジでもある」ともくろむ。

 代行可能な業務のメニューは、▽工事写真台帳の作成▽書類のデータ化▽配筋検査野帳の作成▽図面からの数量拾い–の4種類としている。ただ、既に3-4社で実施しているテストでは「工程がずれた段階で連絡がほしい」など、Photoructionを利用する中で発生するさまざまな要望が寄せられており、「外注を希望する業務があれば相談してもらい、対応可能かどうかを精査しながら、一緒に検討できれば」と考えている。建設業に特化した人材を確保しているからこそ「業務内容を標準化、メニュー化できる」のも同社の強みで、「面倒な導入初期の打ち合わせが不要」なため、Photoruction Eyeの導入当初の初期費用はゼロに設定している。支払いは、サービス料のチケットをあらかじめ購入し、サービスを利用するたびにチケットで支払う仕組みとした。

 テスト利用した顧客からは、「事務所に戻ってからの写真整理、台帳作成が不要になり、工事写真台帳の作成時間2000分を削減できた。黒板情報のデータ管理が可能になった」「現場でのメモや作業内容を事務所でデータ化する業務が不要になり、書類50枚のデータ化の作業時間1000分が削減できた」「黒板情報300枚の作成にかかる作業時間960分が削減できた。配筋検査前の業務が不要になり、検査の効率化、検査内容のデータ管理が可能になった」「紙図面から情報を手作業で拾う作業が不要になり、建築面積50㎡のスラブ面積、基礎梁長さ、人通口数量の拾い作業時間50分が削減できた」といった声が寄せられている。

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら