【BIM2022 フォトラクション】BIM普及へ 超えるべきは紙とPDF | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【BIM2022 フォトラクション】BIM普及へ 超えるべきは紙とPDF

 設計、施工で作成したBIMを、建設現場で手軽に利用するための取り組みが広がっている。約10万現場で導入された建設・土木の生産支援クラウド『Photoruction』を展開するフォトラクション(東京都中央区、中島貴春CEO)は、BIMをクラウドにアップロードし、ブラウザを経由して、スマートフォンなどのモバイル端末でサクサク動かしながら閲覧する低コストのビューワーサービスを提供している。3次元モデルに加え属性情報も確認でき、「現場の手軽なBIM活用」に貢献している。

モバイル端末でさくさく BIMを閲覧できる


 Photoructionは、独自開発のAIを搭載し、ワンクリックで帳票作成や写真整理などを可能にする施工管理の“自動化”が強み。帳票を作成する際の図面の引用や電子小黒板の作成、整理といった人手のかかる作業をAIが代行し、圧倒的な業務効率化を実現するほか、職員が機能や操作を覚える負荷が下がるため、ゼネコンを中心に導入が進んでいる。
 また工事写真や帳票など生産情報のデータベース化にも貢献するため、蓄積したデータをユーザーの基幹システムなどとつなぎ、さらなる効率化が可能になる。その一環として、属性情報を蓄積するBIMとの連携も進めている。
 具体的には専門ソフトをインストールすることなくPhotoruction上で手軽にBIMを閲覧するオプションを提供している。ポイントは、ユーザー単位でなく会社単位で契約し、誰もが閲覧できるようにしたことだ。中島CEOは「BIMの普及で最も大切なことは利用環境の整備。2次元CADは印刷やPDF化によりソフト以外での利用と持ち運びが簡単だが、BIMは同様のことが難しく、データとして使い勝手が悪いことがネックになる。またゼネコン各社で現場ごとにBIM導入数のバラツキがあるため、使いやすい料金体系にすることでとにかく導入のハードルを下げた」と語る。
 また、ユーザーの要望を受け、PhotoructionのRevitへのプラグインも開発した。Revitで作成した鉄筋データを読み込み、配筋計算を自動化して検査の準備を効率化した。今後もBIMソフトとの機能連携を加速する方針だ。

 今後、24年の改正労働基準法の施行に向け、さらなる生産性向上を目指す。例えばAIとオペレーターを組み合わせた新サービス「建設BPO」(外部委託)は、配筋検査準備を自動化し、55%の効率化を実現した。「これまでの延長線でソフトを導入するだけでは生産性向上に限界がくる。AIやBPO、基幹システムなどと組み合わせた抜本的な改善が必要」と力を込める。



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