【発売40周年】TOTO「ウォシュレット」 繰り返されてきた"常識を塗り替える挑戦"の数々 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【発売40周年】TOTO「ウォシュレット」 繰り返されてきた”常識を塗り替える挑戦”の数々

 TOTOが販売する温水洗浄便座「ウォシュレット」は1980年6月に発売され、今月で40周年を迎えた。累計出荷台数が2019年3月に5000万台を突破するなど、現在では定番となった製品であるが、誕生から改良の中で何度も常識を塗り替える挑戦をしている。

1980年6月に発売された初代ウォシュレット


 ウォシュレットの開発は78年に始まった。ベースは、アメリカン・ビデ社が医療用に開発しTOTOが輸入販売していた「ウォッシュエアシート」。一部の一般家庭の口コミにより、未開拓の需要があるとわかっていたが「湯の吐水量が少ない」「長く洗っていると水が出て冷たい」「肛門にうまく湯が当たらない」などの声が寄せられており、十分なデータもなかった。

 TOTOの開発メンバーは、自分自身が実験台となって、適切な湯温、湯の射出位置や角度、必要な洗浄時間を探った。さらにデータを集めるため社内で協力者を募ったが、おしりというデリケートな部位の実験で協力を得ることは容易でなかったという。しかし、最終的には約300人の協力を得て、温水洗浄便座の基礎となるデータを集めた。

 次の課題は、温水洗浄・温風による乾燥・暖房便座の機能を制御する集積回路(IC)だった。温度を素早く正確に感知・制御するのに必要だったが、便座のような水がかかるおそれのある製品にICを使用することは、当時考えられなかった。しかし、風雨にさらされながら稼働する交通信号機をヒントとして、ICを特殊な樹脂でコーティングすることにより課題を解決。発売にこぎつけた。

 ウォシュレットは、82年発表のキャッチコピー『おしりだって、洗ってほしい。』とともに、当初は新奇なものとして受け止められていたが、徐々に定着。累計出荷台数は87年に100万台、98年に1000万台を突破した。

 現在のトイレはデザイン面も重視されているが、この時期すでにウォシュレットは高いデザイン性実現のため大きな改良を経験した。従来の機能先行でデザインを合わせる設計とは逆に、シンプル・コンパクトなデザインが先で機能がそれに合わせる側となったため、貯湯タンクが使えず、少ない水量で洗浄能力を確保しなければならない。

 この課題に対し、強い吐水と弱い吐水を繰り返し水を玉状に連続吐水する「ワンダーウェーブ方式」が開発され、99年に導入された。こうしたデザイン重視の商品開発は、09年以降のレッドドット・デザイン賞やiFデザイン賞受賞など、国際的なデザインの評価や海外高級ホテルなどへの採用につながっていった。

99年に導入されたワンダーウェーブ方式

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