【5G時代への備え】大成建設ら 超高集積・高発熱サーバーに対応した液浸冷却システムを開発 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【5G時代への備え】大成建設ら 超高集積・高発熱サーバーに対応した液浸冷却システムを開発

 大成建設は、超高集積・高発熱サーバーに対応する優れた省エネルギー性能と高い冷却能力を備えた液浸冷却システムを開発した。課題であった施設の高密度化の解消や省エネルギー化に役立つ。今後の5G(第5世代移動通信システム)の普及に対応する情報・通信インフラの実現を念頭に大量のサーバーを運用するデータセンターへの実装に踏み出す。

データセンター内での本システム設置イメージ


 RSIと篠原電機の3社で共同開発した国産の液浸冷却システム「爽空solaTM」は、液浸槽に満たした特殊冷媒(液体)にサーバーを丸ごと浸して冷却する仕組みとなる。

 冷却能力は液浸槽1台当たり約50kW。冷却能力が1ラック当たり5kW程度の空冷方式に比べてサーバーの高密度での配置・運用が可能となるだけでなく、従来のように空気の流れを考慮したラック配置が不要となることから、サーバー室面積の省スペース化(約90%削減)とデータセンターの小型化を実現できるという。

 実証試験の結果、省スペース化や省エネルギー化など当初に想定した性能を着実に発揮できることを確認した。空冷方式との比較で冷却時の機械音が削減される点や、静音性に優れた快適なサーバー室環境を構築できるというメリットもある。

 大量のサーバーを運用するデータセンター事業者や自社サーバー室を保有する企業に積極的に売り込む。自動運転システムなど大量データを扱う情報・通信インフラだけでなく、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)、eスポーツなど、あらゆる分野で導入の可能性を追求していく。

 IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)に代表される昨今のデジタルトランスフォーメーションの進展が開発の背景にある。

 データセンターは高度な情報処理を行うサーバーの設置台数が増加。単位面積当たりの電力消費量が増大して冷却能力のさらなる向上が不可欠となっているからだ。

 従来の空気による冷却方式(空冷方式)を使って高度な情報処理に対応するためには、一層のスペースの増大と空調エネルギーの増加を招くことから、抜本的な解決策が求められていた。

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