【"はたらく"価値高める】REVZO虎ノ門 サイズ感を生かし心地よい空間づくりの秘密に迫る | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【”はたらく”価値高める】REVZO虎ノ門 サイズ感を生かし心地よい空間づくりの秘密に迫る

 日本土地建物が中規模オフィスの新ブランドとして展開する「REVZO(レブゾ)」のシリーズ第1号となる『REVZO虎ノ門』が、東京都心に誕生した。デザインパートナーには建築家の川島範久氏(川島範久建築設計事務所主宰)を起用。そのサイズ感を効果的に生かして自然光が差し込み、心地よい風がそよぐオフィス空間を創出した。“「はたらく」を解き放つ”をコンセプトに、働く人それぞれが自分らしく、より自由で健やかに、創造的に働くことができる環境は、コロナ禍での「新しい生活様式」が模索される中で、“あえて”来たくなるオフィスとして話題を集めそうだ。

10階ラウンジ。自然の素材と職人の技が織りなす 豊かな空間が知的な活動を促す


 「REVZO」とは、「人と企業の働き方を変革〈REVOLUTION〉し、成長を加速する新拠点〈ZONE〉」を表現したブランド名称だ。生産性を高める先進のオフィス機能とともに、創造性や知的好奇心を喚起し、個性や能力を発揮できる場として「自由に」「健やかに」「知的に」「快適に」「上質に」「安全に」の6つの価値を提供する。

 これを具現化する上で「2つの特徴がある」と川島氏。1つは「基準階の構成そのものが外観をつくり上げていく」ことであり、もう1つが「自然素材をふんだんに取り入れ、光や風、緑、さらに映像も使いながら、さまざまなモノ、他者とのつながりを感じられるオフィスをつくる」ことだと話す。

デザインパートナーの川島氏


 1フロア355㎡という、そのサイズ感が空調をグリッド状に組み込んだシステム天井ではなく、片側に寄せた横吹き型の個別空調システム導入を可能とした。ダクトがなく最大3690mmの天井高を確保。コアをスプリットさせることで南北に抜ける、自由度の高いスクエアなワークスペースを創出し、「そのままで使える日本型スケルトンを目指した」というフレキシブルな空間を提供する。

 両面採光でき、心地よい風が通る、明るく快適な環境は「どの場所にいても外を感じられる中規模オフィスのメリット」だと強調する

基準階。企業それぞれの働き方に合わせたレイアウトが可能なフレキシブルな空間


 引き違いのサッシを採用し、自分で開けて出入りできる幅2mのバルコニーも各階に設置。50cmの植栽帯とメッシュに守られ安心してリフレッシュすることができる。屋外階段とつながっており、非常時の避難ルートともなる。

緑豊かなバルコニー


 街に開かれた、その透明感ある外観は、まさに働く人を引き立てる“額縁”であり、各フロアで展開されるアクティビティーそのものが1つの個性を形づくっていく。

 豊かな緑と大画面デジタルスクリーンに包み込まれたエントランス、デザイナーの野老朝雄氏と有田焼きのコラボレーションにより、各階で文様と色合いが異なるアートピースを踊り場に設けた、思わず昇りたくなる階段、交流と知的活動を促す落ち着きと温かみのあるラウンジ…。

四季折々の景色やものづくりの風景を 映し出すエントランス


 感性を刺激する多彩な共用空間には「厳選された国内の素材、その土地の伝統的な技術や職人の技を感じられる家具や内装材」を積極採用。北海道の旭川家具や福島県の会津塗、富山県の高岡銅器、佐賀県の有田焼きという、4つの地域の四季折々の風景と工房でのものづくりの映像はエントランスのスクリーンで季節にあわせて映し出される。

 「ただ使うだけでなく、それがつくられるバックグラウンドまで想像が及ぶことで知的好奇心が刺激され、創造性につながっていくのではないか」と狙いを語りつつ、「さまざまなクリエーターやデザイナー、地方の工房が集い、自らのフィールドを超えて意見を出し合いながらつくり上げてきた。このプロジェクトの進め方そのものが“はたらくを解き放つ”というコンセプトを体現している」と川島氏は振り返る。

温かみや上質さを感じさせるEVホールと昇りたくなる階段


 「計画段階では想定してなかったが、コロナ問題はテレワークを一気に普及させ、働き方や雇用形態の変化のスピードをさらに加速させた。管理しやすい画一的な形態から働く一人ひとり、企業それぞれの働き方に合わせた空間へ、オフィスビルに求められるものも大きく変わっていく」とは日本土地建物投資開発部の有村亮課長。「テレワークが普及するコロナ時代だからこそ、あえて来たくなるようなリラックスできる居心地のいいオフィスを目指した」とも。

 中規模オフィスビルの新たな可能性を広げるREVZOシリーズ。来年には第2弾となる日本橋が完成。今後、都心5区を中心に展開していく予定だ。

外観

【建築データ】
▽所在地=東京都港区西新橋1-8-1
▽事業主=日本土地建物
▽デザイン監修=川島範久建築設計事務所
▽設計=建築:川島範久建築設計事務所、建築・設備:日本土地建物、構造:平岩構造計画
▽施工=安藤ハザマ
▽用途=事務所
▽構造・規模=S一部RC造地下1階地上11階建て
▽延べ床面積=4570.98㎡
▽基準階貸室面積=355.42㎡(107.51坪)
▽竣工=2020年6月

写真撮影:長谷川健太