【調査費用2割低減】ニチレキ・グリッド AIと電磁波による床版損傷判定システムを開発 | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【調査費用2割低減】ニチレキ・グリッド AIと電磁波による床版損傷判定システムを開発

 ニチレキとグリッド(東京都港区、曽我部完代表取締役)は、AI(人工知能)と電磁波を組み合わせた技術による橋梁のRC床版上面損傷個所判定システム「smart床版キャッチャー」を開発した。調査費用を約2割低減できる。国土交通省の『点検支援技術性能カタログ(案)』に掲載された。

システムの全体イメージ図


 橋梁のコンクリート床版上面の点検はこれまで、舗装面の撤去復旧が必要で、手間や費用の面から難しかった。ニチレキでは、電磁波レーダを搭載した測定車「床版キャッチャー」を2014年に開発。一般車両が走行しながら測定し、非破壊で床版正面の状態を判定する技術を確立した。ただ、電磁波の反射信号を踏まえた判定は、熟練技術者の判断に頼っていたため、判定に時間がかかり、調査コストや判定技術の継承が課題となっていた。

 smart床版キャッチャーは、電磁波の反射信号を元に熟練技術者が判定した結果を教師データとしたAIで損傷を判定する。これまでは解析、報告作業を事務所に帰ってから実施していたが、導入後は計測後に損傷範囲の判定結果が解析速報としてクラウド上にリアルタイムでアップロードされ、調査から解析までを現場で完結できる。道路管理者は、迅速に安定した判定結果を確認できる。高精度位置情報(RTK-GNSS)も採用し、計測座標をもとに、熟練技術者が実施していた車線ごとの座標合わせ作業を自動化した。

 作業工数の削減による定期点検の効率化で、熟練技術者が判定する場合と比べ、調査費用を約2割低減することに成功した。

 システムには、実際の損傷などから得られる新しい知見を反映できる「AI再学習機能」を取り入れており、データを蓄積するごとに判定精度が向上する。

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