福岡市に本社を置く富士経営グループの富士エコ研究開発(崎田康一代表)は、スレート屋根や折板屋根での作業を想定した屋根足場「おちんぞ(仮称)」を開発した。道板を盛替える際に屋根を踏み抜いて落ちる可能性を限りなく減らすとともに、作業効率の向上が期待される。 駅舎や工場などで使うスレート屋根は、張り替えの時期を迎えており、国内におおむね12億㎡存在する。すべてを張り替えると高額な費用が生じるため、一般には「かぶせ」という鉄板で覆う工法が採用される。
屋根足場「おちんぞ」は、長さ200cm前後で幅24cmのアルミ製の道板4枚が楕円(だえん)状の器具に付いており、道板の両端のガイドレールによって後方に送ることで、安定した作業床を確保できる。現在は最終調整を進めており、重量は18㎏程度、6つの部品を組み立てるので持ち運びが簡単だとしている。また、試験段階ながら作業時間が従来の3分の1程度となった。
同社は、19年11月に駅舎の屋根の修繕を受注し、開発に着手した。過去に内装用足場「シフトステージ」を開発した実績があり、今回の開発を担当した上木原純一郎顧問は、「水車から着想し、設計図では水車のような器具を考えた」と語る。特許は同社が申請中で、販売も同社、メーカーは朝日ビルテック(福岡市)となる。
崎田代表は、「スレート屋根だけでなく折板屋根も5年後には更新時期がくる。また、太陽光パネル清掃用の足場としても企業から相談があり、さまざまな現場で使ってもらいたい」と意気込みを語った。