【"儲かる農業"後押し】四国総合研究所 電気を利用した省力化システムでライチ栽培に成功 | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

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【”儲かる農業”後押し】四国総合研究所 電気を利用した省力化システムでライチ栽培に成功

 四国電力のグループ会社である四国総合研究所(高松市、松本真治社長)は、研究ノウハウを活用した独自の農業支援策を展開している。熱帯果樹のライチ栽培に成功するなど、研究テーマの『農業電化』を通じた“儲かる農業”によって地域活性化を後押しする。高い技術が必要な品種をメインに研究を重ね、減農薬とスマート栽培の省力化システムのパッケージ展開も視野に入れる。

 地域振興の一環として注力しているのがライチ栽培で、ポット式養液栽培をベースとした省力化システムを開発した。ライチは70-100㎡の小型ハウス5棟で約70株を育成。2015年から香川大学と共同で研究してきたプロジェクトだが、5年目にようやく収穫を迎えたことで一定の成果となった。

開発した省力化システム


 ライチの原産は、中国南部やタイ北部と言われる。主に中国、台湾、南アジアなどの熱帯・亜熱帯地域で生産されていて、気候条件が異なる日本では宮崎、鹿児島、沖縄などごく限られた地域で少量しかできない。国産は国内流通量の1%と言われるほど希少で、同社はここに着目した。

 農業に電気を使う研究を続けて約30年。従来からある農業用装置と新たに習得した電気やバイオテクノロジーの研究成果を組み合わせて、適正に管理するのが特徴。仕組みは、栄養分が入った原液をタンク内で適正濃度に溶かし、配管チューブで各ポットに自動散水する。担当者は「研究を通じて温度や湿度、光の強さ、肥料濃度、水分量などの生育条件を解明し、ノウハウとして蓄積している」という。

 育成システムには同社が開発した既存技術を導入した。緑色LED光源『みどりきくぞう』がその一つ。同社は緑色の光が抵抗力を高めることを初めて発見しており、植物の病害を抑える効果が期待できる。「成長促進や害虫抑制など多様な効果があったため、ライチにも適用した」(担当者)という。このほかハウス内の状況解析には、栽培環境モニタリングシステム「ハッピィ・マインダー」を取り入れている。

 担当者は、「実がなったことで確信は持てた。ビジネススキームやモデルはこれから」としつつも、「ライチの栽培システムをつくり上げるとともに、蓄積した生産ノウハウをパッケージ化してコンサルティングしていきたい」と展望する。また、「手間暇の数値化・自動化は、担い手不足や高齢化に役立つ技術になる」と意気込む。

5年目にようやく収穫を迎えた

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