【貴重な建築を未来へ】神奈川県大磯町 旧大隈重信別邸・陸奥宗光別邸跡を有形文化財に指定 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【貴重な建築を未来へ】神奈川県大磯町 旧大隈重信別邸・陸奥宗光別邸跡を有形文化財に指定

 神奈川県大磯町は、関東地方整備局が所有する旧大隈重信別邸、陸奥宗光別邸跡を同町指定有形文化財(建造物)に指定した。同局は「明治150年」関連施策の一環として、神奈川県、大磯町と連携しながら伊藤博文邸跡(旧滄浪閣)などの建物群・緑地を「明治記念大磯邸園」として整備する事業を進めている。今回指定した2邸は同邸園内にある。

旧大隈重信別邸


 1897年以前に建築された「旧大隈重信別邸・旧古河別邸」は、同年に大隈重信が別荘として購入し、1901年に古河家に継承された。

 外観などに改造が施されたものの、大広間、北座敷、神代の間の3棟を中心に大隈別邸当時の建築が現存している。構造・内部は当初の趣をよく伝え、雁行型の配置や銘木を使いながらも落ち着いた設えに、海浜別荘らしい特徴が見られる。創建は1897年よりさらにさかのぼる可能性があり、海浜別荘地・大磯の草創期の別荘建築として貴重な建物と評価した。

 一方、1930年に建築された「陸奥宗光別邸跡・旧古河別邸」は、外務大臣を務めた陸奥宗光の別邸を譲り受けた古河家が、関東大震災後による倒壊後、その跡地に同年、上棟した建物となる。

 葛西田中建築事務所の設計による瀟洒(しょうしゃ)な数寄屋風の住宅建築で、海浜別荘らしい平面・設備を特徴とし、造作の質も極めて高い。昭和初期、屈指の近代和風建築で、敷地・庭園も合わせて同時期の姿をとどめる貴重な別荘遺構と評価している。
 所在地は東小磯285番地。

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