【記者座談会】民間オブザーバー参加の日建連・意見交換会/土木学会新会長「よりよき社会」の"羅針盤"を | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【記者座談会】民間オブザーバー参加の日建連・意見交換会/土木学会新会長「よりよき社会」の“羅針盤”を

A 日本建設業連合会と国土交通省各地方整備局などが全国9地区で開催した、2018年度の「公共工事の諸課題に関する意見交換会」が、11日の北陸で全日程を終えた。ことしの特徴はどうだったかな。
B 前年に続き週休2日の実現、生産性向上を主要テーマに意見を交わした。特徴は、初の試みとなる民間オブザーバーの参加と、積極的な自治体の取り組みにスポットを当てた点だと思う。JR、電力、ガス関係者のいずれかが全地区の意見交換会に参加した。日建連の宮本洋一副会長・土木本部長は、改革に向けた受発注者双方の取り組みを「肌で感じてもらえたことは大きな成果だった」と手応えを口にしていた。

ことし最後の意見交換会が開かれた北陸地区。各地区の意見交換会では、週休2日を始めとした働き方改革に対する発注者の協力姿勢が強く感じられた


A 週休2日については、日建連が受発注者の役割分担が契約上明示される発注者指定型の全面導入を要請していた。
C 日建連が、国交省の週休2日試行工事を受注した会員を対象に実施した調査によると、約8割が指定型での発注を望んでいる。大規模工事の受注者希望型では、費用や工程面で受注者が負うリスクが大きいことから、週休2日の試行の選択をちゅうちょする傾向が見られる。また、「受注者の責」ではない理由で週休2日の実施が困難になった場合の取り扱いは、指定型では特記仕様書への記載が進んでいるが、希望型は進んでいないという背景もある。
B 指定型については、18年度から関東、九州の両整備局が導入する意向を示したほか、一定の条件を満たした工事に適用する地方自治体の事例などが多く紹介された。担い手不足に対する危機感は受発注者に共通しており、各地区の意見交換会でも週休2日を始めとする改革の下地づくりに対する発注者の協力姿勢が強く感じられた。
C 意見交換会後の懇親会では、「建設業週休2日」「けんせつ小町」のロゴ付きラベルを張ったワインも振る舞われた。懇親会には昨年に引き続き、多くのけんせつ小町も参加していた。宮本本部長は各懇親会の乾杯あいさつで、女性活躍の重要性を強調し、「いまから大勢の小町が名刺交換にうかがいますのでご用意をお願いします」と場を盛り上げていた。

「松柏千年青」をつくる土木学会に

A ところで土木学会の新会長に小林潔司京都大経営管理大学院教授が就いたね。
D 8日の定時総会で就任あいさつに立ったが、“明治150年”について、近代化や戦後復興という夢、価値観を国民が共有できた時代だったとし、インフラの蓄積を通して社会や経済の発展と成長を同時代的に体験できたと指摘した。価値観やライフスタイルが多様化する中で、「よりよき社会」とは何かという答えを出すことは非常に難しいと率直に語りながらも、その羅針盤を示すのが土木学会の使命だと言い切ったところに強い印象を受けた。
E 東日本大震災が発生した時に、南禅寺の老大師から「松柏千年青」と言葉を掛けられたという。常に変わらぬ松や柏の青は国難の時こそより美しく見える。土木学会は1000年の松柏をつくるものだと励まされたそうだ。その意味でも、よりよき社会を考える上でスタート点になるのはレジリエンスの問題だと見据え、国難とも言うべき危機に強い国とはいかにあるべきかを考えていきたいと話していた。
D 昨年5月に設立された日本アセットマネジメント協会の会長も務める、わが国におけるアセットマネジメントの第一人者でもある。資産としてのインフラの価値を最大化していくような幅広い活動を期待したいね。

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