【記者座談会】土木学会、建築学会、建築3会が全国大会 アルカジア大会は21年ぶり | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

公式ブログ

【記者座談会】土木学会、建築学会、建築3会が全国大会 アルカジア大会は21年ぶり

土木学会「社会システムのイノベーション創出のために」

A 土木学会の2018年度全国大会が、8月29日から31日まで札幌市で開かれた。今大会の特徴は。
B 「社会システムのイノベーション創出のために~未来に向けて土木が担うもの~」をテーマに、発表論文数は過去10年間で最多の4000題超となった。論文の増加に伴い、参加者も例年以上に多かったという印象を受けた。明治150周年と北海道命名150年という節目での開催となり、札幌駅前通地下広場で北海道の足跡を振り返るパネル展示も一般市民の注目を集めていた。
C 小林潔司会長は基調講演で、IoT(モノのインターネット)はさまざまなシステムをつなぐことで「システムのシステム化」を実現する潜在的な力を持っていると指摘し、ビッグデータやAI(人工知能)、自動運転といった技術革新の活用、連携が「よりよき社会」を構築するためのかぎを握ると強調していた。全体討論会では社会システムの進化に向けてインフラが果たす役割に期待する声が多く上がったが、急速に進化するICTを有効活用するためにもインフラ自体のアップデートが求められると強く感じたね。

土木学会の全体討論会では社会システムの進化に向けて、インフラが果たす役割に期待する声が多く上がった

日本建築学会 テーマは「記憶/未来」

A 4日からは日本建築学会の全国大会が、仙台市の東北大学をメイン会場に開かれたがどうだったかな。
D 東北地方での開催は11年の東日本大震災以降では初めてとなる。あれから7年半が過ぎたが、この間も各地で自然災害が頻発しているだけに、「記憶/未来」をテーマとした3日間の大会でも災害関連の話題が多かった。
E 津波防災や災害調査のあり方、住宅復興、復興まちづくりなど、震災の記憶を教訓として、未来という次につなげるための議論が盛んに展開されていた。復興状況の見学ツアーなども企画されたが、復旧から復興に向けては、全国から多くの建築関係者が関わっただけに、その行き着く先を見届けるものになったかもしれないね。

海外から多くの建築家が集うアルカジア大会

A 建築関係では、アジア建築家評議会の「アルカジア東京大会2018」と日本建築家協会の「JIA建築家大会2018東京」が10日から15日まで、東京都千代田区の明治大駿河台キャンパスを主会場に連続開催される。
E 日本では21年ぶりとなるアルカジア大会と、東京で11年ぶりとなるJIA全国大会の同時開催とあって、アルカジアのテーマである「Simplicity-Multiplicity」の邦題となる「素なることと多様な相」をJIAの大会テーマとした。単純な形や単位から多様な空間を構築していく現代的な設計手法と、立ち戻るべき建築家のあり方を重ね、建築家の職能やJIAの存在意義そのものを問う機会として、従前に増して国際色豊かで多彩なプログラムを用意している。
C 昨年の徳島大会のテーマである「土着」とは対照的だ。パキスタンから東側に位置する21の国・地域を代表する建築家が来日する。これだけの規模で海外の建築家が集まるのは11年のUIA東京大会以来だし、経済発展が著しい国が多いだけに、“建築”という共通言語を生かしたグローバルな議論と交流を期待したい。
E 10月に入ると5日には日本建築士事務所協会連合会の建築士事務所全国大会が東京で、日本建築士会連合会の建築士全国大会は25、26の両日、さいたま市で開かれる。前者は「未来に繋ぐ」、後者は「歴史に感謝 未来に約束 今 埼玉に集う彩り豊かな暮らしの創造」がテーマだ。
A 29日から日本建築学会の「建築文化週間」も開幕する。例年のことだけど、多彩なイベントが目白押しだけに取材記者にとっては忙しい秋になりそうだね。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら