【日本建築学会】バウハウス100周年記念講演会を開催 文化・芸術分野への影響力を振り返る | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【日本建築学会】バウハウス100周年記念講演会を開催 文化・芸術分野への影響力を振り返る

 日本建築学会(竹脇出会長)は3日、学会大会(北陸)で1919年にドイツで設立されたバウハウスの100周年をテーマにした記念講演会を開いた。「『時代』としてのバウハウス-モダニズムの1920年代」をテーマに、バウハウスに造詣が深い研究者などが講演、鼎談(ていだん)を通じて、足跡や文化・芸術分野への影響力などを語った。

鼎談する左から、金澤、柏木、杉本、 梅宮の各氏

 記念講演会は2部構成で、1部では金沢在住の音楽家、金澤攝氏が23年にワイマール(ドイツ)で開催されたバウハウス展でのイベント「新音楽の祭り」にちなんだ曲目をピアノで演奏した。
 第2部では、杉本俊多広島大名誉教授、柏木博武蔵野美術大名誉教授がそれぞれ講演し、建築やデザインへの影響などについて説明した。講演後には、梅宮弘光神戸大大学院教授を司会に迎え、金澤、杉本、柏木の3氏が鼎談した。
 柏木名誉教授は、「デザイン、芸術の中でバウハウスが語られてきた。第1期は表現的、中期は合理的、普遍主義の確立、3期は悲観的な状況。工房、教育、作家とあらゆるジャンルで膨らみを持った活動だった」と足跡を振り返った。
 79年に『バウハウス その建築造形理念』を出版した杉本名誉教授は、「70年代はモダニズム、機能主義、合理主義への反発の時代に入った。それが生まれたルーツは何かに興味をもって研究した」とした上で、「バウハウスが立ち上がったころは第1次大戦で機械の戦争が切り広げられていた。100年経ってAI(人工知能)が兵器になりかねない状況に来ている」との見解を示した。
 金澤氏は、「前衛音楽は79年で終わり、その後は再構築という状況にある。象徴的なのが世界遺産だと思う。時代が新たなものを求めるのではなく、過去のものをナチュラルに見る時代になっている」と指摘した。

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