清洲橋、永代橋は関東大震災の復興事業として、内務省復興局が事業主体となり建設された。
清洲橋は中央区日本橋中州と江東区清澄1を結び、橋長は186.2m。1928(昭和3)年に竣工した。ドイツ・ライン川に架かるケルンの大吊り橋をモデルとし、道路橋として戦前に建設された唯一の自碇式吊り橋となる。
永代橋は中央区新川1と江東区永代1を結び、26(大正15)年に竣工した。橋長は184.7m。ドイツ・ライン川のルーデンドルフ鉄道橋をモデルとし、日本で最初のバランスドタイドアーチとなる。
国内唯一のシカゴ型双葉跳開橋となる勝鬨橋は、東京市が事業主体となる東京港修築工事の一環として、40(昭和15)年に竣工した。中央区築地6から勝どき1を結び、橋長は246.0mとなる。
いずれも当時の最先端技術を駆使して建設し、高い価値がある橋梁として、2007年6月18日、3橋同時に国の重要文化財(建造物)に指定された。
重要文化財の橋梁長寿命化のため、「鉄板もできるだけ既設の部材を保管しながら補強する。穴あけも最小限にし、補強部材も目立たないように」(建設局道路管理部の本間信之橋梁構造専門課長)と、細心の注意を払う一方で、「地域に広く親しまれている現役のインフラ施設として、常に安全に配慮しながら進める」ことも心掛ける。
上空、左右が限られたスペースの中で部材を取り付けるため、「あらかじめ1mm単位の緻密な現地計測をして、工場で部材をつくる」(同)といった正確さも求められる。
清洲橋は橋台ダンパー設置工(横軸方向)、橋台変位制限構造設置工(横軸直角方向)などを、永代橋は橋脚支承補強工(水平固定支承の追加)、落橋防止システム工、アーチリブウェブ補強工(水平補剛材追加)を終えている。ともに現在は18年1月までの工期で道路照明改修工事、ことし11月までの工期で橋面舗装と伸縮装置取り換えを進めている。照明の改修工事は、建設当時のデザイン・外観の照明に復元してLED化する。
勝鬨橋は地震対策として側径間の支承部に水平力分担構造の設置が終わっており、中央径間などの長寿命化工事は20年の東京五輪以降に進める予定だ。
塗り替え塗装工事は、清洲橋と永代橋は11月、勝鬨橋は12月に公告する予定だ。
◆清洲橋
長寿命化設計=エイト日本技術開発
長寿命化工事(その2)=三井造船鉄構エンジニアリング
長寿命化工事(道路照明改修)=三和電気土木工事・ヤマニエレックスJV
長寿命化工事(橋面舗装及び伸縮装置取替)=ガイアート
長寿命化工事(塗装)=11月公告予定
◆永代橋
長寿命化設計=ウエスコ
長寿命化工事=エム・エムブリッジ
長寿命化工事(アーチリブ補強)=三井造船鉄構エンジニアリング
長寿命化工事(道路照明改修)=丸電・三盛電設JV
長寿命化工事(橋面舗装及び伸縮装置取替)=世紀東急工業
長寿命化工事(塗装)=11月公告予定
◆勝鬨橋
長寿命化設計=エイト日本技術開発
長寿命化工事=ショーボンド建設
長寿命化工事(塗装)=12月公告予定