【日刊建設通信新聞社主催】第1回BIM/CIM LIVE2020② | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

B・C・I 未来図

【日刊建設通信新聞社主催】第1回BIM/CIM LIVE2020②

オートデスク技術営業本部 松本昌弘氏/働く場所選ばずデータ共有

 今回は、オートデスクの建設業界向けのクラウドサービス「BIM360」シリーズのうち、ベーシックなサービスとなる「BIM360 Docs」を中心に紹介したい。

建設関係者のデータの管理の問題点として、小さなプロジェクトなど社内LANでデータを共有する場合、外部の人は参加できないことが挙げられる。大きなプロジェクトでは、発注者、設計者、外注企業、アルバイト、地域住民など社員だけではなく、異なる立場の人がデータを利用するため、権限を設定する必要がある。「BIM360 Docs」では、社外の人を招待することを可能とし、参加する人の権限をユーザー別、会社別など細かく設定できるようにした。

また、プロジェクトでは、BIM/CIM、図面、ドキュメント、写真、動画などさまざまなファイルフォーマットを扱うが、ファイル名で判断し、ダウンロードする必要があり、労力や時間がかかる。「BIM360 Docs」はドキュメントビューアーを兼ねており、ファイルの中身をブラウザ上で開き、確認することができる。

図面管理の問題点として挙げられるのは、▽大量の図面を紙に印刷する手間▽現場に図面を運ぶと重い▽現場で朱書きした内容をBIM/CIMデータとして再入力する手間▽修正依頼個所の管理が煩雑–などの問題点が挙げられる。

「BIM360 Docs」では、スマートフォンやノートパソコン、タブレットなどでBIM/CIMデータにアクセスでき、図面にマークアップ(朱書き)することも可能とし、これらの課題を解決した。
土木設計ソフトウェア「Civil3D」では、「BIM360 Docs」を利用するプロジェクトのデータにどこからでも、直接アクセスできる。働く場所を選ばず、クラウド上でデータを共有することで、テレワークに対応する。

 

 

 

IHIインフラ建設開発部課長 若林良幸氏/削減効果高く施工貢献を再認識

 国の「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」(PRISM)に応募、採択された橋梁の建設現場におけるオープンイノベーションについて説明する。

1年目は多伎PC上部工事(島根県)の現場で試行した。CIMモデルの4D可視化による施工計画の効率化により作業日数や現場作業時間短縮を実現、結果的に工期の約15%短縮という思いがけない効果を得ることができ、BIM/CIMの活用は施工に貢献できることを再認識した。加えてMR技術による施工支援と検査の効率化により人・作業時間を約20%短縮、またトータルステーション測量技術による出来形計測の効率化にも取り組み、人・作業時間を約60%削減することができた。

橋梁建設工事におけるPRISMの取り組み

2年目は九頭竜川橋(福井県)の張り出し架設工法の現場で試行した。MRトータルステーション技術とTS計測技術、そして画像解析と認識技術の連携を目指すことでデジタルツイン活用を狙った。あわせてUAV撮影による画像解析技術を用いた配筋検査の効率化やMR技術による型枠・出来形検査の効率化も実施。BIM/CIMとICTの連携により人・作業時間を約22~30%削減できた。

3年目に入り現在は遠隔臨場品質管理システムの提案をしている。MR画像解析技術・AIを活用したリモートマネジメントが可能なシステムにより現場に赴くことなく検査を実現できるようになれば生産性が向上し、働き方も変わる。そうすれば建設業界のイメージそのものも変わることになるだろう。

オフィスケイワン代表取締役 保田敬一氏/生産性向上の安定的ツール不可欠

 橋梁上部工事は路線の線形や交差道路、周辺条件により複雑な構造が多い。とりわけ鋼橋は部品点数が多く、手作業による橋梁CIMモデル作成の場合モデルが正しくつくられているかどうかの検証が困難で、オペレーターのセンスや能力に依存せざるを得ない。生産性向上にはCIMモデルの正確性の検証が容易で、安定的に品質を確保するためのツールが不可欠だ。

当社の橋梁CIMシステムの最大の特長は3次元CADの操作が不要で、設計担当や現場担当者が空き時間で3Dモデルを作成できること。幾何補足形状と豊富なアノテーションを出力でき、品質チェック用のBIM/CIM設計照査シートをエクセルで出力できるといった機能も備えている。成果品の品質確認が容易でかつCIMモデル作成費用の削減にもつながるシステムを実現している。

5月にリリースした鋼橋CIMシステム「CIM-GIRDER」は箱桁橋と鈑桁橋のCIMモデル作成に対応する。また4月に発売した「CIM-COMPO」はPCコンポ橋向けのシステムでPRISM試行1年目の成果を実装した。現在開発中の「CIM-BOX」は張り出し施工の箱桁橋用で、試行2年目の成果を実装した。20年度後半に発売を予定している。これらのビューワーとしてCIMモデル管理システム「CIM-PDF for dwg」も開発した。

今後はCIMシステムを中心に干渉チェックから工事計画、MR施工、数量算出、3D連携、施工管理とICT施工のハブとなるようにしていきたい。

 
 

 

 

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