【日刊建設通信新聞社主催】第1回BIM/CIM LIVE2020④ | 建設通信新聞Digital

5月8日 水曜日

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【日刊建設通信新聞社主催】第1回BIM/CIM LIVE2020④

フォーラムエイト執行役員システム営業マネージャ 松田克巳氏/VRと土木設計を高度に融合


 当社は設立当初から土木設計・解析のソフトウェアを開発してきたが、ここ20年はバーチャルリアリティ(VR)のソフトウェアの開発にも注力し、土木設計と高度に融合させた展開を進めている。

 VRソフト「UC-win/Road」の初版は2000年にリリースした。当時はCIMという言葉はなかったが、3Dで標高データを取り込み、航空写真を貼りつけ、道路線形を入力しVR空間を作成していた。その4年後にはLandXMLフォーマットに対応し、他のCADとの互換性を持たせたほか、線形データ、最近であればIFCが取り込めるようになり、BIM/CIMのプラットフォーム的に活用できるソリューションへと発展している。

 3次元の標高データやオルソ画像、緯度・経度情報、位置情報などのベースデータは、多くのオープンソースが国土交通省他から公開されており、一部については、ソフトウェアから直接データベースサイトにアクセスして入手することができる。それらを組み合わせることで、ベースとなるVR空間、交差点や道路構造が短時間で作成できる。

 土木建築設計CADの「UC-1シリーズ」は、弊社が培ってきた橋脚や橋台、ボックスカルバート、擁壁などの構造物設計計算・CADシステムに3次元CAD機能を付加している。SXF形式の図面が作成できるほか、3Dアノテーション付きの3D配筋が自動生成でき、ここからIFCに出力することもできる。最近は、避難解析や津波解析など、防災や国土強靭化に活用できるようなデータファイルとの連携も進めている。

 最近リリースした4Dシミュレーション機能は、時間軸を考慮した施工シミュレーションができる新しい機能で、現在標準化に向けた取り組みにも参画している。今後、よりシームレスにVRから図面やBIM/CIMモデル、皆さんが普段使われている計測結果、測量データなどを用いて、VRデジタルプラットフォームを活用できる環境を提供していきたい。

復建調査設計DX推進センターBIM/CIM推進室 亀田雄二氏/マネジメント力持つ人材育成


 国土交通省は、2020年度からデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を掲げており、BIM/CIMの原則適用について、2年間の前倒しとなる23年度までとした。「進取」「協力」「信頼」を社是とする当社ではこの動きに対応し、発注者に信頼されるべく社員一同で協力してDXを進取していかねばならない。

 特に、プロジェクトをマネジメントできる人材の育成を課題と捉え、さまざまな取り組みを展開している。その中でも重要な役割を占める新入社員の育成については、「BIM/CIM新入社員集中研修」を実施している。研修はBIM/CIM推進室を設置して以降、毎年実施しており、ことしで7回目を迎えた。

 ことしの研修は5月7日から6月5日までの約1カ月をかけ、16人が参加した。タスクの遂行では、2次元図面から3次元モデルを作成するのみではなく、従来作業との比較や品質向上の比較検討、4次元シミュレーション作成のいずれかもタスクに付け加えた。最終日には成果発表会を実施、社長賞など4つの賞を設け、優秀なタスク発表者を表彰した。

 新入社員研修以外では、担当者クラスを対象に、ソフトの基本操作についてハンズオン研修を実施している。見積計画書、報告書の作成やモデル作成の指持など、業務のマネジメントの基礎としてのソフトの使用力を養うことが目的だ。研修に参加した職員を対象としたアンケートによると、回答者の77%が「今後BIM/CIMを使用できる」と答えてくれたことはうれしかった。

 一方、「使用しない」とした回答者もいるため、今後、この業界で生き残るためにも、まだまだ意識改革をしなければいけないと感じている。

 DXを進取するために必要な人材としては、自らモデリングできる技術とソフトウェアを活用できる技術を身に着けることが重要だ。ただし、当社が実施している研修で習得できるモデリング技術だけでは不足している。プロジェクトのファシリテートができる人材、すなわちマネジメント力を持った人材が必要となっている。

 21年度以降のDX推進に向け、現在、組織体制を考えている。現在は6人で研修や支援、情報収集を実施している。21年度は12~20人プラスアルファの組織体制を構築する方針だ。部門を跨いで技術力の高い人材をプロジェクトに組み入れ、このユニットでの経験によりマネジメント力を育てていこうと考えている。

 
 

 

 

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