【日刊建設通信新聞社主催】第2回 BIM/CIM LIVE2020④ | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

B・C・I 未来図

【日刊建設通信新聞社主催】第2回 BIM/CIM LIVE2020④

JACIC/方法、人、場所をバランス良く整備

   日本建設情報総合センター理事 尾澤 卓思氏

 i-ConstructionおよびDX(デジタルトランスフォーメーション)へ向け、日本建設情報総合センター(JACIC)では2018年5月から「JACIC i-Conチャレンジ戦略」を提起してきた。現在は▽「新現場力」の構築▽DX時代の「新しい仕事の仕方」の提案▽i-Conと情報共有環境の強靭化▽建設情報の一元化▽23年度BIM/CIM問題の5テーマを提案している。

 その前程には「技術者が技術を磨くという本質の課題に取り組み、技術を磨いていくことに時間を使う。簡単単純な作業は減らし、創造的な仕事を生み出す環境を整える」という大きな目標がある。

 建設生産革命の実現に向けて克服すべき課題は、熟練労働者の高齢化や減少、また若手労働者の減少など担い手不足による現場力の低下を、いかにして補うかということである。その解決のために「新現場力」としてICTの導入は不可欠である。「新現場力」とは、これまでの現場における「人、技術、システム」が有する能力を、ICTなどの技術革新によって向上させることで、これまでできなかった課題を解決する能力と定義づけている。

 クラウド技術を用いて3次元モデルや仮想現実、高度化された計測データを共有することで関係者間の意思疎通の即時性、同時性を確保するとともに、AI技術など、新時代の分析能力を活用することで、現場力の回復のみならず飛躍的向上を図る。新現場力により新たな現場経験が生まれ、それが現場技術者の技術力の向上と人材育成につながると考えている。

i-ConからDXへの5つの提案

 DX時代では「新しい仕事の仕方」へと移行していく。公共調達関連業務は簡単便利になっていく。JACICクラウドを使って1つのIDを使って様々なサービスを受けられるようにすると、煩わしい手続きは減っていく。ICTプラットフォームと統合モデルを用いた新たなマネジメント方策を提案し、事業プロセス管理は上手にスピーディに、維持管理や行政管理はレベルアップを図る。

 コロナ禍でウェブ会議は代替手段として機能したが、今後考えないといけないのは、その先の段階である「新しい仕事の仕方」である。JACICクラウドを利用し、ICTプラットフォーム(3次元モデルなど)を用いて、幅広く現場業務を支援する。災害対応でもその有効性を発揮する。災害時には人の移動が制限され、時間とコストがかかる。クラウド技術の即時性・同時性というものが大きな力を発揮する。ライブの動画や写真、地図、エクセルで作成したタイムライン、3次元モデルなどを共有画面で見ながら対策できるので、意思疎通が図りやすく迅速な決定が可能となる。

 建設情報の一元化についてはこう考える。コリンズ・テクリスと保管管理システムを連携させ、キーワード検索機能などを拡張することで「発注・契約・オンライン電子納品・保管・利活用」までの一元的な建設情報管理の実現が可能となる。

 23年度までに小規模なものを除くすべての公共工事についてのBIM/CIMの活用が決まっている。ICTプラットフォームを使った新たなマネジメント方策を導入し活用して欲しい。その際、ルール(方法)・スキル(人)・プラットフォーム(場所)の3要素をバランス良く整備することが大事である。



建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら