【スマートビル普及へ】サイバー攻撃の弱点解消 最新セキュリティーシステムは何が違う? | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

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【スマートビル普及へ】サイバー攻撃の弱点解消 最新セキュリティーシステムは何が違う?

 ビル監視や空調、照明、エレベーターなどの設備システムがIoT(モノのインターネット)につながることで、統合ネットワーク化されたスマートビル。こうした建物の高度化で課題となるのがサイバーセキュリティーの対応だ。弱点の克服へ、竹中工務店など4社は、より強固なセキュリティー性能を発揮する最新のサイバーセキュリティー対策システムを構築した。

従来のセキュリティー対策との比較


 新たに構築した「Smart Secure Service」はスマートビルなど高度なビルディングオートメーションシステムを持つ建物向けのサイバーセキュリティー対策システム。竹中工務店とSBテクノロジー、NEC、サイバートラストの4社による開発技術となる。

 不正アクセスへの検知機能(不正侵入検知システム)や、それを防止する通信の遮断/隔離機能(不正侵入防御システム)、登録済みのデバイスだけに通信を許可する認証機能を搭載。万が一のネットワークへの不正な侵入やウイルス感染による被害を最小限に食い止めることができるという特長を持つ。

 それぞれの設備システムやIoT機器がつながることで、統合ネットワーク化されたスマートビルは、効率的な建物管理や省エネルギー化、利用者の利便性・快適性を向上させることができる一方で、ネットワークの規模が大きくなるが故にサイバー攻撃へのリスクも増す。

 これまでのビルディングオートメーションシステムにおけるセキュリティー対策は、主に外部からの脅威に対するファイヤーウォールでの防御が中心となっていることから、不正な通信アクセス(不正侵入)やウイルス感染を前提とした、いわば“事後の対策”が必ずしも十分ではないといった実態があった。

 4社は竹中工務店グループが所有するビルを対象に実際のサイバー攻撃に対して、新システムが従来のセキュリティー対策よりも強固なセキュリティー性能を発揮することを実証。充実したセキュリティー機能を持つ「Smart Secure Service」の顧客への提案や導入・活用に弾みをつけた。

 スマートビルなどICT・IoTを活用した建物の高度化が進む中で、ネットワークへの不正アクセスの防止や、仮に侵入されたとしてもその影響を最小限に食い止めるセキュリティー対策の重要性は明らか。これからのスマートシティーの実現にも役立つ基盤技術になりそうだ。

■セキュリティー対策の検討
 スマートビルにおけるサイバーセキュリティー対策は「設備設計」の中で検討されることになる。
 竹中工務店が設計施工を手掛ける場合、同社が建物全体のコンセプトや、設備機器の環境制御といったICT施策を構想する中で、経済産業省の「ビルディングオートメーションにおけるサイバーセキュリティガイドライン」に準拠したセキュリティーポリシーを策定。計画段階で新システムの導入を含めた検討を進める。次のステップとなる設計段階で、セキュリティー対策システムの設計などを実施。必要な開発・テストを経て建物に導入される流れとなる。
 同社は、新たに構築した「Smart Secure Service」をスマートビルの普及に向けた基盤技術に位置付けている。

スマートビル実現までのセキュリティー検討から導入フロー

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