【オーナー保護規定明確化】賃貸経営で増加中のサブリース方式 国交省が適正化指針を策定 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【オーナー保護規定明確化】賃貸経営で増加中のサブリース方式 国交省が適正化指針を策定

 賃貸経営を管理業者に一任するサブリース方式について、サブリース業者や連携する建設業者、不動産業を対象とした新規制が12月15日から施行されることが決まった。国土交通省は16日、施行日の決定にあわせて、実際に規制対象となる具体例を示したガイドラインを公表。悪質だと判断されれば罰金や懲役刑が科せられることから、建設業者がサブリース方式を前提とした賃貸住宅の建設を請け負う場合、法令に沿った勧誘を行うよう十分に留意する必要がある。

 賃貸住宅経営は、以前はオーナー自らが管理するケースが中心だったが、オーナーの高齢化や物件の相続に伴う兼業化の進展、物件管理に求められる内容の高度化により管理業者に管理を委託する物件が増えている。1992年度に自ら管理業務を実施している人の割合が75%だったのに対して、2019年度は18.5%まで減少。反対に業者に委託する割合が25%から81.5%に増加し、逆転する格好となった。

 委託の増加に伴ってトラブルの発生も増えている。09年度に1000件程度だった賃貸住宅の管理会社などをめぐる相談件数はこの10年間で7倍の7000件超まで増加。そのうち、サブリースに関連した相談も比例して増えている。

 サブリース方式は、アパートなどのオーナーからサブリース業者が賃貸物件を一括して借り上げ、入所者を集めて転貸する仕組み。近年、勧誘時にサブリース方式で一定期間の家賃保証をうたい、賃料減額のリスクを十分に説明しないまま契約させ、その後トラブルとなるケースが続出し、社会問題となっている。

 サブリースに関連する問題をオーナー保護の観点から抑制するため、ことしの通常国会で賃貸住宅管理業務適正化法が成立した。家賃保証など契約条件の誤認によるトラブル防止のため、すべてのサブリース業者に家賃の減額リスクを告げないなどの不当な勧誘行為を禁止し、重要事項説明を義務付ける。

 具体的には、家賃保証・空室保証などの文言に隣接して、定期的な家賃の見直しがある旨や家賃が減額されることがあることを表示していない「誇大広告」や、家賃減額リスク、契約期間中のサブリース業者からの契約解除の可能性、オーナーからの解約には正当事由が必要であるなどを伝えない「不当勧誘」を禁止する。それぞれのリスク条件は、契約締結前に書面に記載して説明することを義務づける。

 サブリース方式の契約を勧める建設業者・ハウスメーカーや不動産業者も規制対象となることを明確化した。サブリース契約の実態をみると、勧誘の過半数は建設業者や不動産業者が関与していることが明らかになっていることから、規制の実効性を持たせるため、誇大広告や不当な勧誘の禁止は不動産業者や建設会社など勧誘者も規制対象となる。

 ガイドラインでは、勧誘者の該当事例として、サブリース業者から勧誘の委託を受けた建設業者、不動産業者、金融機関や建設業者、不動産業者がその親会社、子会社、関連会社のサブリース業者の契約内容・条件を説明するケースを示している。

 また、サブリース業者との資本関係や委託などの契約関係の有無によらず、例えば建設業者が賃貸住宅の建設に関する企画提案の際に、サブリース業者が作成した資料を使って賃貸事業計画を説明することも勧誘に該当する。

 サブリース業者による借り上げを前提とした賃貸住宅の建設やワンルームマンション、アパートなどの賃貸住宅、その土地の購入を勧める際にも注意が必要だ。オーナーが建設請負契約や土地などの売買契約締結後に家賃の減額リスクなど重要な事項を認識しても、その時点で多額の債務が発生している状況となる。

 そのため、建設業者や不動産業者には賃貸住宅の建設や土地などの購入を勧誘する時点で、サブリース方式のリスクを告知し、オーナーになろうとする者がリスクを十分に認識できるようにすることを求める。その際には、サブリース業者が重要事項説明に使用するリスク事項を記載した書面を交付して説明することが望ましいとしている。

 国交省は、住宅生産団体連合会や全国中小建設業協会など建設業関連の団体に法令やガイドラインの内容について周知を図っている。11月19日以降の毎週木曜日にはオンライン説明会も開催する。

 説明会は▽11月19日▽同26日▽12月3日▽同10日–の全4回で、定員は各回約700人。第1回は既に満席となっている。傍聴希望者は同省ホームページにある登録フォーム(https://seminar-app.com/cer-0000000046)から申し込みが可能だ。

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