【深化する関西の建設ICT】わが社のBIM/CIM/ICTプロジェクト最前線〈3〉 | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

B・C・I 未来図

【深化する関西の建設ICT】わが社のBIM/CIM/ICTプロジェクト最前線〈3〉

 建設ICTの取り組みは多岐にわたる。3次元モデルデータなどの活用による業務効率化や生産性向上は通過点であり、最終的に目指すのは調査から設計、施工、維持管理をつなぐ一貫したデータ連携の流れだ。建築設計事務所、ゼネコン、建設コンサルタントの計36社の最新事例から、建設ICTのトレンドを読む。

奥村組/大阪社会医療センター付属病院建設工事/周辺環境の3次元BIMモデル作成

 大阪市西成区に位置する医療福祉施設の建設に、ICTを積極的に導入している。工事に先立ち周辺環境を3次元レーザースキャナで計測して点群データを用いた3次元BIMモデルを作成し、資機材の搬出入計画や場内の揚重機の配置および工事ステップごとの仮設計画の検討に活用している。3次元BIMモデルは、外装の検討および確認やVRによる病室のデジタルモックアップなどにも幅広く応用でき、臨場感豊かな映像が関係者間の合意形成に役立っている。
 (脇田明幸/ICT統括センターイノベーション部BIM推進室長)



鹿島/京都線・千里線淡路駅周辺連続立体交差工事(第4工区)/CIMで竣工までをビジュアライズ

 工事範囲の阪急淡路駅周辺は住宅、商業施設が密集する市街地であり、かつ複数の営業中の鉄道線路に近接しているため、鉄道施設、周辺の建物、道路施設、電柱、架線、埋設物等の現場状況を把握した設計、計画、施工が求められる。当現場では、3Dスキャナーを用いて周辺環境を丸ごと点群データ化し、BIM・CIMを工事の初期段階から積極的に導入するにより、竣工までのビジョンを明確にして、フロントローディングによる発注者との合意形成および生産性向上に活用している。(森口智聡/関西支店阪急淡路JV工事事務所工事課長)









熊谷組/関労会館建替工事/設計施工一貫BIMの運用確立

 本物件の設計では企画から実施設計まで一貫してBIMモデルから意匠・構造・設備の設計図を作図。着工後も設計モデルを施工モデルへ育成し、足場や支保工の仮設計画、設備納まりやスリーブ計画、部材のPC化、躯体の配筋確認、各種数量管理、内外装のデジタルモックアップやVR等に活用予定。さらなる展開を模索しながら現在施工中である。加えて他物件では、確認申請でのモデル利用、積算との連携、FM-BIMへの発展等、設計施工一貫のメリットを最大限発揮したBIMの活用領域の開拓に挑戦している。
 (山下修司/関西支店建築事業部設計部課長)




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