【テーマは"未来"】北野建設が小学6年生と共同プロジェクト 「桜の木の看板」を制作 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【テーマは”未来”】北野建設が小学6年生と共同プロジェクト 「桜の木の看板」を制作

 北野建設が東京都世田谷区で施工を進めている「街路築造工事(30二-補26三宿)」の現場に近い池尻北児童遊園の敷地内に、同社と地元の多聞小学校6年生が共同で制作した看板が設置され、行き交う人々の心を和ませている。看板には、子どもたちの手形で桜が描かれ、未来へのメッセージが添えられている。地元小学校との共同プロジェクトを企画・実現させた吉澤優希さん(同社土木営業部)は「コロナ禍で大変な中、子どもたちの小学校生活最後の素敵な思い出の1つになってほしい。近隣の皆さんが少しでも明るい気持ちになってほしい」と看板に思いを込めた。

未来をテーマに子どもたちが桜を咲かせた


 桜の木をデザインした看板は、コロナ禍による在宅勤務中に思いついた。「保育園年長の娘のイベントが中止になったり、延期になったりしているのを見て、寂しい思いをしていた。今回の街路築造工事の説明会会場として使用させていただいた多聞小の6年生も同様だと考え、素敵な思い出をつくってほしいと看板の共同製作を考えた。デザインを桜にしたのは、同工事のために伐採したソメイヨシノの木材で先行してベンチを製作しており、これにつながる取り組みにしたかったから」と振り返る。

 共同プロジェクトのテーマは「未来」とした。「今回の工事が『未来の生活を豊かにする道路工事』であるように、小学校6年生は『これからの未来に羽ばたく』子どもたち。双方につながるキーワードから設定した」。こうした考えや趣旨を多聞小学校や発注者である東京都などに説明し、協力を得て共同プロジェクトが7月に本格的にスタート。

 当初、工事の仮囲いに看板を設置しようと考えていたが、安全性を考慮し、関係各所の協力で池尻北児童遊園に設置することになった。また、デザインも当初、桜の木にメッセージを書き込むような手法も考えたが、子どもたちのプライバシー保護とともに、ストレスを感じずに明るい気持ちで取り組めるように、知り合いのデザイナーの協力を得て手形でつくり上げることにした。

 6年生3クラスの子どもたち一人ひとりに手形用の用紙を配り、絵具で手形をとり、そのスキャンしたデータを看板製作会社で加工処理し、クラスごとに考えたメッセージを添えて、桜の木の看板が完成した。

 1クラス1.8m四方の看板3体が池尻北児童遊園に10月17日に設置された。数日後、クラスごとに学活の時間を使って現地で見学会が開かれ、「看板を製作しようと思ったきっかけや、道路工事の目的などを子どもたちに話す貴重な機会をつくっていただいた。子どもたちの思い出に添えれば、建設業を理解してもらえるチャンスが増えることにつながる」と実感を込める。

 2008年に東京本社に入社し、建築事業本部工務部から13年に土木営業部に配属され、出産・育休を経て、産休前と同じ働き方を希望して復職し、現在に至っている。今回の共同プロジェクトを通して、「自ら企画して実現できた初めての取り組み。いろいろな人に相談し、アイデアをいただきながらやりきれた。良い経験になった」と充実感を語る。娘を連れて看板を観に行った際、「ママがおうちでしていたお仕事だよね」と言われ、「個人的にも母親の仕事を娘に見せることができて本当に良かった」とも。

吉澤さん


 卒業制作の1つとして協力した多聞小学校のホームページでは看板の写真を掲載し、「6年生が池尻北広場(池尻北児童遊園)に桜の花を咲かせました」とメッセージを発信している。看板は6年生が卒業するまで池尻北児童遊園に設置される。

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