【「野球」きっかけに建設業界へ】"アスリート採用"が軌道に乗る深谷組の心がけていること | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【「野球」きっかけに建設業界へ】”アスリート採用”が軌道に乗る深谷組の心がけていること

 現在建設会社で唯一、社会人野球チームを持つとび・土工事業の深谷組(さいたま市、深谷和宏社長)。本業の技能工兼硬式野球部の選手として高校、大学の新卒者を受け入れる「アスリート採用」が軌道に乗る中、その領域が広がりを見せ始めている。

本業と野球部の橋渡し役を担う松永さん(右端)


 1月に入社し、総務人事部に所属する松永卓也さん(29)は、研修や採用などの社業のかたわら、野球部ではチーフマネジャー兼コーチを担っている。独立リーグなどでのプレーを経て、少年野球スクールのコーチとボーイズリーグ(中学)の監督を務めていたが、「よりレベルの高い社会人野球を勉強したい」との思いが募り、以前から聞き知っていた深谷組の門をたたいた。

 会社としては現場サイドだけでなく、管理部門でもアスリート採用が形になり、野球をきっかけに異業種の人材を呼び込むことに成功した。松永さんを、監督も務める社長の近くに置くことで、会社の内情や野球に対するトップの考えを熟知してもらい、建設と野球両分野の橋渡し役となることを期待する。

 自身として初めてのシーズンを終えた松永さんは「最初は新入社員ということで遠慮もあったが、だいぶ思ったことや気付いたことを率直に伝えられるようになってきた。平日は現場に出ているため、会う機会がなかなかない選手もいるが、自分から積極的に出向くなどしてコミュニケーションを深めていきたい」と先を見据える。

 来春は高卒15人、大卒4人の計19人が入社・入団する予定で、野球部も40人超の所帯に拡大する。「社会人野球チームの中で当社は特に高卒の選手が多い。肉体的な面を含め、より成長した大卒相当の年齢層で勝負できるようにしたい。そのためには、仕事をしながらでも長く野球を続けられる環境づくりが必要だと思う。それはひいては会社の本業のためにもなる」と松永さん。

 これはまさに「野球を基軸としながらも、日々の仕事を通じて建設業を好きになり、将来的にこの業界に定着してくれる人材が1人でも多く現れてくれれば」(深谷社長)というアスリート採用の根幹思想に一致する。来シーズンは入団5年目となる選手が1人、4年目が2人いる。素地は徐々に整いつつある。

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