熊谷組とNECは、自然災害の対応現場を想定した無人化施工の実証実験によって、ローカル5G(第5世代移動通信システム)を活用した4K映像の伝送と重機模型のVR(仮想現実)遠隔操作に成功した。ローカル5Gを活用することで、ネットワークの帯域不足といった従来からの無人化施工の課題を解消。今後の本格導入に弾みをつけた格好だ。
神奈川県川崎市にあるNECの玉川事業場に設置したローカル5Gラボに仮想の現場環境を用意。無人化施工におけるVR技術や360度映像、4K・2K映像の伝送をローカル5Gを活用して検証した。大容量で低遅延かつ多次元的な通信をリアルタイムに実施できることを確認した。
システムは、オペレーターが装着するVRヘッドマウントディスプレーと操縦席が取り付けられたモーションベース、360度カメラと加速度センサーを搭載した建設機械(実証は重機模型で代用)で構成する。
オペレーターによって遠隔操作された建設機械の映像や傾き・振動など動きの情報を含むパケットが、ローカル5Gネットワークを通じてVR遠隔操作を行う座席にダイレクトに転送される。
オペレーターが装着したVRヘッドマウントディスプレーに建設機械の映像が表示されるのと同時に、操縦席が取り付けられたモーションベースに傾きや振動など実際の建設機械の動きを再現する仕組みだ。
映像だけでなく、建設機械の傾きなど“動きの情報”までリアルタイムに伝送することで、建設機械を傾斜地などで運用する場合でも実際の搭乗操作に近い感覚で遠隔操作できる。
自然災害の復旧現場で導入する無人化施工は、2次災害を防ぐための有効な手段となっている。両社はローカル5Gの基本的な伝送特性を考慮した実証を行うことで、ICTを活用した無人化施工の本番導入の取り組みを加速していく。