【"究極の地方創生"】「エスコンフィールドHOKKAIDO」建設中の北広島市が進める方策とは | 建設通信新聞Digital

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【”究極の地方創生”】「エスコンフィールドHOKKAIDO」建設中の北広島市が進める方策とは

 北海道北広島市内で建設が進んでいる日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」。北広島市は、新球場を核とした「北海道ボールパークFビレッジ」(BP)の立地で生じるさまざまな効果を市内全域に行き渡らせようと取り組み、人口減少や高齢化が目立つJR北広島駅周辺の中心市街地を「まちの新たな顔」として活性化するための方策を進めている。

大小のクレーンが立ち並ぶ新球場の建設現場(12月5日時点)

◆まちづくりを具体化/地域のBP効果活用
 同市の立地適正化計画では、北広島団地地区と東部地区の周辺を都市機能誘導区域と位置付けており、鉄道とバスの交通結節点で主要施設が立地していることから都市機能の集積を図りながら、生活利便性の充実に向けて官民連携による複合型拠点形成や公的資産の有効活用による民間事業の参画を図る。10月の北海道都市計画審議会では、BPの建設を進めているきたひろしま総合運動公園周辺を市街化区域に編入する方針が示され、正式決定後は商業施設をはじめ、まちづくり関連施設の立地が可能となる。

 上野正三市長は、「BPとつながることで、拠点地区としての価値や求心力を高めることができる」としてJR現駅とBPの連携に期待を寄せ、「BPは究極の地方創生」と話しているように、BPによる地域への効果を訴え、観光客を含め、国内外から多くの人々をひきつける効果を最大限に生かし、次世代につなぐためのまちづくりを具体化させようと取り組んでいる。

起工式での川村社長(右)と 上野北広島市長

◆エンターテインメント創造の新たな拠点
 4月13日には、2023年3月に開業を予定している新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」の起工式が行われた。設計・監理は大林組・HKSグループ、PM・CM業務は山下PMC、施工は大林組・岩田地崎建設JVが担当する。起工式で上野市長は「市民、道民の夢と希望をかなえ、まちの発展に大きく貢献するボールパーク構想の実現に取り組みたい」と述べ、ファイターズスポーツ&エンターテイメントの川村浩二社長は「従来の球場にない観戦スタイルの提供や、新しいエンターテインメントの創造に向け、さまざまなパートナーと協力し合い魅力あるまちづくりを提供したい」と意気込みを語っている。10月には、建設地近くに温泉が湧き、新たな資源を確保したことで施設への期待はさらに高まりを見せている。

 エスコンフィールドHOKKAIDOは、3万5000人程度の収容を見込む約5haの開閉式の天然芝ドーム球場で周辺施設の核となる。規模はS一部RC造地下2階地上6階建て延べ約10万㎡。22年12月末に完成、23年3月の開業を目指す。21年春には開閉式屋根の設置工事も始まる。
 大林JVの竹中秀文所長は「工事の進捗状況を住民の皆さんにも案内できる機会をつくっていきたい」と話しており、10月には新型コロナウイルス感染防止対策を徹底した上で現地見学会を開くなど新球場をPRしている。

BPの完成イメージ

◆ボールパーク開業で新駅整備、28年春完成
 JR北海道は、北海道日本ハムファイターズのボールパーク開業に伴う新駅構想に関して検討案を公表している。新駅が整備されると、BPとの相互効果によってホテルやマンション建設など民間事業者の進出につながり、新たなまちづくりが進むことにつながる。

 工期は設計や行政手続きなどを含め約7年を見込み、仮に20年中に関係者が合意して21年度に着手した場合、開業は最速で28年春となる見通し。

 このほかにも、きたひろしま総合運動公園線の市道大曲椴山線交点から共栄南1号線を結ぶ延長2.9㎞の路線で、北海道日本ハムファイターズの本拠地となる北広島市のBPへのアクセス道路として、初弾の新設工事も進む。

 完成まで3回の冬を越す厳しい環境下での工事だが、フィールドの天然芝には環境条件から芝の生育状況を高精度で予測できるシステムを適用するなど最先端技術を導入し、商業施設を含めた周辺を切り開く大規模工事は注目に値する。

 「世界がまだ見ぬボールパーク」との言葉は進化型の球場建設に向けた新たな挑戦となる。北広島市と建設関係者は難局を打破して夢の実現に挑み続け、BP開業に向けた道民の期待は高まる。

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