【BIM未来図・大旗連合建築設計③】顧客満足が導入の推進力/合意形成に有効な確認ツール | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【BIM未来図・大旗連合建築設計③】顧客満足が導入の推進力/合意形成に有効な確認ツール

 大旗連合建築設計(広島市)にとって、BIM導入の効果とは何か。対象プロジェクトでは施主との関係性に変化が見られ、より深い対話が実現し、それが設計者の成功体験として、BIM導入の推進力となっている。

 BIMプロジェクトチームメンバーの兒玉亮太設計部課長は、BIMで初めて取り組んだ広島和光本社ビル建設プロジェクトでの経験が頭を離れない。2次元設計に並行しながらBIMに取り組んだが、モデルを見た施主からは細部にわたり要望が数多く出てきた。「施主との対話は深まり、BIMが合意形成の確認ツールとして力を発揮することを強く感じた」。こうした経験を経て、 現在手掛ける比治山大学新3号館改築プロジェクトでは基本設計から実施設計、 現場監理を含めた一貫したBIMにチャレンジしている。

比治山大学新3号館改築プロジェクト


 高橋智彦設計部課長も一貫BIMに取り組むメンバーの1人だ。RC造2階建て延べ1060㎡の小浦眼科新築プロジェクトは設計期間が短かったものの、 あえてBIMでチャレンジすることを決めた。施主は雑誌などからお気に入りの建築空間を探してくるほどデザインに強いこだわりがある。ARCHICADビューアツール『BIMx』を使い、 モデルを介して施主の意見をリアルタイムに聞き設計を進めてきた。「突き詰めた設計が実現する部分がBIMの魅力」と受け止めている。

小浦眼科新築プロジェクト


 導入当初は先導役の両メンバーもBIMを思うように使いこなせず苦悩していた。意識を一変させたのは広島で2カ月に一回のペースで開催されているBIMセミナーに顔を出すようになってからだ。設計事務所やゼネコンなど業種を問わずBIMにチャレンジする“仲間”が集う。毎回テーマを決めて意見を交わす中で、兒玉課長は「参加者の強い思いに刺激をもらい、BIMへの向き合い方が変わった」と明かす。他社ではベテラン設計者が試行錯誤しながらもBIMを効果的に使いこなす姿を目の当たりにして、高橋課長も「私自身、もう2次元設計をやめ、BIMでとことんやってみよう」と決意した。

 プロジェクトチームメンバーがBIMを効果的に使い始める姿を垣間見ながら、伊藤智宏取締役は「BIMを使うことで顧客が喜んでくれることを知っている。顧客満足が彼らのエネルギーになっている」と受け止めている。基本設計から実施設計までの一貫BIMを導入したプロジェクトは既に2件が竣工を迎えた。「BIMで深くまで突き詰めたプロジェクトは完成後に施主に違和感を抱かせない。それはしっかりと施主との対話ができている証でもある」と手応えを口にする。

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