【BIM未来図・大旗連合建築設計②】設計者自ら志願する流れへ 若手メンバーが社内けん引 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【BIM未来図・大旗連合建築設計②】設計者自ら志願する流れへ 若手メンバーが社内けん引

 大旗連合建築設計(広島市)でBIM導入を先導するのは20代と30代の設計者たちだ。BIM導入から10年が経過し、基本設計から実施設計まで一貫してBIMで取り組むプロジェクトも現れ始めたことから、社を挙げてBIMに取り組む流れをさらに強めようと、若手8人で構成する「BIMプロジェクトチーム」を1年前に発足させた。

 大旗祥社長は「BIMを使い始めた若手に社内をけん引してもらい、BIMを水平展開していきたい」と期待している。近い将来には設計者全員が無理なくBIMが使えるよう、社内のPC(パーソナルコンピューター)も高性能なマシンに切り替えた。「当社は社員の自主性を重んじている。BIMに限らず、社員が率先して取り組みたいと考えることに対しては積極的に後押ししたい」と続ける。

BIMは社員の自主性に任せる


 BIMプロジェクトチームは意匠、構造、設備の各部門から選抜した。社内の意匠設計部門は3グループに区分けし、各グループにBIMメンバーを推進役として配置することで、日ごろの設計を進めながらBIMの普及を図ろうとしている。推進役の高橋智彦設計部課長は「まずは意匠へのBIM導入を先行し、徐々に構造や設備にも浸透させる流れをつくっていきたい」と考えている。テンプレートなどの導入環境も整備しており、社内からBIMに関連した業務上の疑問などをQ&Aとして公開している。同じく推進役の兒玉亮太設計部課長も「既にQ&Aが100項目を超えているように、社内の意識も着実に高まっている」と強調する。

社内のQ&Aは100項目超


 現在、進行するBIMプロジェクトの中には、BIMプロジェクトチームに誘発され、メンバーでない設計者が自ら志願し、チャレンジする動きも出てきた。同社が愛用するBIMソフト『ARCHICAD』にはプロジェクト関係者が同時に操作できるチームワーク機能があり、推進役がBIMのポイントを教えながら設計を進めている。高橋課長は「われわれチームはBIMの先導役ではあるが、押し付けによって導入を指示することはしない。あくまでも設計者の自主的な意識がなければ広がっていかない」と話す。

 BIM導入にかじを切った同社だが、大旗社長は「あえて導入に向けた計画目標は掲げない。設計者の意識として着実に浸透していく流れを大切にしたい」と考えている。社名にある『連合』が個性の集合体を意味しているように「一人ひとりが技術の研さんを積み、その結びつきが組織力になる。だからこそ社員が主体的にBIMにチャレンジする姿勢を、会社として全面的に後押ししたい」と力を込める。

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