【BIM未来図・大旗連合建築設計④】デザインレビューは様変わり 施主の納得が次への営業 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【BIM未来図・大旗連合建築設計④】デザインレビューは様変わり 施主の納得が次への営業

 大旗連合建築設計(広島市)が社内のデザインレビューを定例化して2年が経過した。これまでは作品によってレビューの開催時期も回数も明確に定めていなかったが、BIMの導入拡大に呼応するように提案時、基本設計段階、実施設計段階、完成時の計4回実施することを決めた。大旗祥社長は定例化によって「活発に意見が出るようになり、社内の雰囲気も大きく変わった」と強調する。

レビューでは活発な意見


 同社は部分導入も含めれば、全プロジェクトにBIMを導入していることから、レビューもBIMをベースに意見を交わすスタイルが日常化している。2次元図面による以前とは比べものにならないほど、参加者からは多くの意見が出るようになった。高橋智彦設計部課長は「モデルでは嘘をつけない。BIMを使うことでレビューの緊張感はより増している」という。短期間に提案を詰めなくてはいけないプロポーザルやコンペの提案づくりでも、BIMが意見を誘発するツールとして機能している。

 69歳の山崎榮作専務取締役を始め、60代の設計者もBIMを使ったレビューに前向きだ。大旗社長は「若手に誘発され、ベテランも真正面から向き合っている。BIMが設計品質の向上とともに、技術の伝承にも一役買う」と考えている。このようにBIMの可視化効果がレビューをもり立てる。

 伊藤智宏取締役は「皆が参加でき、自由に思ったことを伝えられるシチュエーションが作品にも良い効果として現れている」と説明する。BIMによって施主との対話が深まるように「BIMを活用したレビューで社内から多様な意見を導き出し、短時間で奥深い議論ができるようになった」と感じている。

 創立72年を迎えた同社は、設計者一人ひとりの個性を重んじてきた。現在は50人体制。毎年安定して新卒採用も続けている。意匠、構造、設備の各機能を持つ地域の組織設計事務所として、広島や山口を中心に中国地方での活動が主になるが、近年は関東や中部でも作品を手掛けるケースが増えた。

設備や構造でも導入進む


 大旗社長が「社名の連合には関係性を大切にし、建築を通して施主や関係者とつながり、束ねるという意味が込められている。最近は地元の施主がわれわれの活動地域を全国に広げている」というように、過去に設計を手掛けた施主からの業務依頼が売り上げの7割を超えるのも同社の特徴的な部分だ。「施主の納得した作品をつくることがわれわれにとっての最大の営業活動であり、それを実現する手段としてBIMが有効に作用している」と受け止めている。

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