【和歌山、兵庫でも工事進む】大阪府はトップの9件 関西で「水素ステーション」建設が進行中 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

公式ブログ

【和歌山、兵庫でも工事進む】大阪府はトップの9件 関西で「水素ステーション」建設が進行中

 燃料電池自動車(FCV)のエネルギー供給拠点である「水素ステーション」の建設が進んでいる。関西では2020年10月までに16カ所で設置が完了しており、現在は和歌山県と兵庫県が設置工事を進めている。設置数は大阪府がトップの9カ所で、京都府3、兵庫県2、和歌山県1、滋賀県1カ所と続く。これまでの全国の動きとともに、関西の水素ステーション設置の現状と今後の展望をまとめた。

水素ステーション事業推移


 13年度から20年10月までに事業化したのは全国で154カ所、このうち関西は18カ所だった。内訳は大阪府9、兵庫県3、京都府3、和歌山県2、滋賀県1。20年度に事業化したのは和歌山県と兵庫県で、ともに日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM)と岩谷産業が共同で建設を進めている。

 全国での事業推移を見ると、13年度から15年度にかけては上昇し、目標通りの事業数となったことから16年度には新規事業が落ち着いた。そこから20年度にかけては、JHyMの発足の影響から再び右肩上がりに転じた。次世代自動車振興センターの見通しでは、今後も新規建設の流れは継続するようだ。

 大阪府は14年度から事業化に乗り出し、14年度に2カ所、15年度に5カ所、18、19年度に1カ所ずつ建設を進めてきた。現在は市内を始め、茨木市、田尻町、枚方市、豊中市、堺市と、府内各所にステーションを置く。府は17年2月に策定した「大阪府内における水素ステーション整備計画」の中で、25年度までに28カ所の整備を目標としている。現状遅れは生じているが、引き続き設置事業は継続する方針だ。

 兵庫県は19年3月に「兵庫水素社会推進構想」を策定し、18年度にはステーションの設置支援策を用意した。補助額は、経費から国補助金か8000万円を引いた差額か、一律5000万円のうちで小さい方としている。現在、岩谷産業を事業主とするステーションを姫路市に建設しており、県は5000万円を補助する見込みだ。14年策定の「兵庫県燃料電池自動車普及ビジョン」では30年度に30基の導入を予定し、こちらも目標からは遅れているものの引き続き事業を推進していく方針だ。

 水素ステーションは、水を電気分解して製造した水素をFCVに補給する装置。19年度末時点の全国保有台数は3695台で、経済産業省の導入目標には届いていない。ただその一方で、水素ステーションは20年度目標160基に対して実績が136基と、着実に建設が進んでいる。

 現在の水素ステーションの整備費は、供給能力が1ha当たり300ニュートン(N)m3の固定式ステーションで4-5億円ほど。通常のガソリンスタンドは約1億円で、建設コストに課題を抱えている。1Nm3当たりの値段は水素が約100円で、液化天然ガスの13円程度に比べると高額だ。7日には、岩谷産業など88社が参加する「水素バリューチェーン推進協議会」が発足し、水素社会の実現や水素インフラの整備を促進する動きもあり、官民ともに水素社会実現に向けた取り組みを展開している。

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら