【山岳トンネル工事】大成建設「T-DrillPacker」に機能拡張 "コア削孔タイプ"を追加 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【山岳トンネル工事】大成建設「T-DrillPacker」に機能拡張 ”コア削孔タイプ”を追加

 大成建設は、大量の湧水の発生が予測される山岳トンネル工事で、前方にある湧水帯の位置や湧水の量・水圧を安全かつ効率的に測定できる技術「T-DrillPacker」の機能を拡張した。先端にコア採取用のビットを用いることで、湧水の調査と同時に地山の強度や貴金属の含有量といった地質調査を行える点が特長。現場での適用性を大幅に向上させた。

コア採取用ビット


 ノンコア削孔タイプとして2020年7月に開発した「T-DrillPacker」は、アウタービットとインナービットで構成する“二重ビット”を採用。インナービットだけを回収することで、削孔管を存置したままアウタービットの内側からパッカーと呼ばれる袋状の部材を挿入して湧水の量や水圧を計測する仕組み。

 削孔管を引き抜くことなく、安全かつ効率的に湧水量・水圧を測定できることから、従来手法の課題であった孔壁崩壊のリスクを回避しながら、削孔管の回収に要する手間や時間を大幅に低減した迅速な調査が可能になるという特徴を持つ。

 新たにコア削孔タイプとして、従来のノンコアボーリング用ビットだけでなく、岩石コア(サンプル)を採取・格納できる鋼管(コアチューブ)を備えたコア採取用ビットを適用できるように改良。湧水の測定と地質調査を同時に実施できる技術を確立した。

概念図


 孔壁崩壊のリスクを回避しながら、湧水の量・水圧を迅速に測定できるという従来からの“長所”はそのままに、トンネル前方の地山の強度や貴金属の含有量などの評価に必要なコアボーリング(岩石コアの採取)を同時に実施できるように機能を拡張。調査ニーズに合わせた現場での適用性を大幅に向上させることに成功した。

 ボーリング削孔管の先端にコアチューブを備えたコア採取用ビットを装着して回転させながら地山を掘削することでコアサンプルを採取する。

 湧水帯に遭遇した場合、削孔管から内側のコアチューブだけを引き抜いて回収。コアチューブを引き抜いた削孔管の中に、新たに開発したコアボーリング専用の大拡張パッカーを挿入・拡張させることで、湧水帯の状況を同時に計測していく仕組みとなる。

 湧水測定とコア採取を同時に実施して湧水区間の詳細な地質を迅速に把握できる、この技術を効果的に活用することで、大量の湧水が想定される山岳トンネル工事の安全性を高めていく。

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