【アルパック】魅力ある副都心を実現 兵庫県加古川市のJR山陽本線まちづくり構想検討業務 | 建設通信新聞Digital

4月19日 金曜日

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【アルパック】魅力ある副都心を実現 兵庫県加古川市のJR山陽本線まちづくり構想検討業務

 兵庫県加古川市が実施した「JR山陽本線(東加古川駅付近)連続立体交差事業に伴うまちづくり構想検討業務委託」の公募型プロポーザルで、地域計画建築研究所(アルパック)が特定された。岡本壮平取締役大阪事務所長が「小さくまとまらない思い切った内容」という提案は総合評点で2位以下を大きく引き離すほど高い評価を受けており、今後は「その評価に応えなければならない。受託業務を通じて各関係者と協議し、駅ありきのまちではなく、魅力ある副都心の実現を目指す」と語る。

左から松尾主幹、山本チーム長、岡本所長


 同社は日本各地で地域づくりに取り組んでおり、加古川市でも調査などの業務実績を持つ。さらに岡本所長は同市の出身で、その強い思いと地域に精通していることを背景として前向きにプロポーザルへの参加を決めた。

 プロポーザルでは企画提案の評価項目が多岐にわたるため、それぞれに異なる強みを持つ大阪事務所5人、京都事務所(本社)3人の計8人でチームを組み、ウェブ会議システムを使いながら議論を重ねていった。

 各評価項目のうち、同社がポイントだと見定めたのは、誘導すべき都市機能と配置の考え方を問う「土地利用」と鉄道の南北や駅周辺の回遊を含む「連携強化」だ。

 副都心と位置付けられる東加古川駅周辺は、駅南側に高度利用化された市街地が形成され、駅北側には商業施設や医療施設などがある。ただ、これらの施設があるエリアのすぐ北には国道2号バイパスがあり、さらにその北側に総合文化センターや兵庫大学などの文教機能が集積している。

現在の駅周辺


 つまり鉄道とバイパスの2枚壁でエリアが分断される形になっており、連立によって生まれる高架下をできるだけオープンな空間とすることで鉄道の壁は薄くなるものの、もう1枚の壁は変わらず存在する状況となる。

 そこでバイパスと文教エリアも一体化したまちづくりを構想し、駅前エリアをバイパスの入り口(玄関)にもする案をまとめあげた。「意見が対立するなど白熱して打ち合わせ回数も増えたが、だからこそみんなの主張を盛り込んだ内容となった。ヒアリングでは大胆な提案だと言わんばかりに細かく質問されたが、みんなで考え抜いた末での提案であり、自信をもって答えることができた。市とともに本気でまちづくりに取り組む姿勢や熱意が伝わったのかもしれない」(山本昌彰地域再生デザイングループチーム長)と振り返る。

 また、提案づくりにおいては、これまでにジェイアール西日本コンサルタンツが連立の調査業務を行っていたため、「その結果を踏まえながら、ソフト系のコンサルとして当社ならではの色をどうつけるかを意識した」(松尾高志同グループ主幹)とも明かす。

 今後は、10月29日までを履行期間として、提案に基づいた調査を含むまちづくり構想検討業務を進めていく。導入する機能については「目先の収支だけに縛られず、地域の価値を高める観点で、一般的な商業やサービス以外の機能を盛り込む」(岡本所長)方向で検討を進めていく。

 最後に山本チーム長は「ここにしかないまちづくりにつながる構想にした。そして、構想づくりに終わるのではなく、これを契機に関連する事業や活動がまちなかで生まれていく。そんな加古川副都心づくりに貢献できればと思う」と意気込みを示す。

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