【英国事例に学ぶ】JIA近畿 「JIA市民大学講座2020まちづくりセミナー」をオンライン開催 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【英国事例に学ぶ】JIA近畿 「JIA市民大学講座2020まちづくりセミナー」をオンライン開催

 日本建築家協会近畿支部(JIA近畿)は23日、「JIA市民大学講座2020まちづくりセミナー-建築とまちの価値を高めるデザインレビューを考える」をオンラインで開催した。坂井文東京都市大教授が「英国CABEと建築・都市デザイン」をテーマに基調講演し、英国の建築・まちづくり機構(CABE)によるデザインレビューの仕組みについて解説した。

 冒頭、津田茂支部長は「建築やまちのあり方が変化する中で、デザインレビューのあり方も変わってきている。多くの自治体ではまちをより良くする意識を持っている。このセミナーで紹介していただく英国での先行事例なども参考に、勉強していきたい」とあいさつした。

 坂井教授は基調講演で、CABE設立の背景について解説し「発端はロンドンの都市政策。都市居住を促進する中でデザイン性を重視するようになっていた一方で開発許可手続きを行う人材が不足しており、審査をサポートする機関が必要になった」と話した。また、「CABEのデザイン審査では提出を求める提案の論点を明確にし、独立性や透明性、専門性、合理性、客観性、市民重視、住環境向上、明確な助言などを大切にしていた」とし、リンカーン博物館やロンドンオリンピックの際のデザイン審査事例を紹介。

 「専門性を保つため、審査プロセスはすべてをオープンにする必要はないという考えを持っていた。発足からデザインカウンシルと統合するまでの10年の間に地方自治体にノウハウを植え付け、いまでは多くの自治体が自前の審査機関を持っている」と功績を語った。

 その後、東実氏(元芦屋市都市建設部主幹)と所千夏氏(アトリエCK)、杉野卓史氏(安井建築設計事務所)がパネリスト、坂井信行氏(地域計画建築研究所)がコーディネーターのパネルディスカッションを開いた。

 東氏は芦屋市の景観形成の取り組み、所氏はJIA近畿のエリアアーキテクトの考え方、杉野氏はベトナムでの公民デザインレビューの実態についてそれぞれ紹介し、坂井氏は「デザインレビューでは『公益性』という意義を持つことが大切。アドバイスのタイミングに注意し、一緒に知恵を出し合うスタンスが重要だろう」と取りまとめた。

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